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Souffle(スーフル) Souffle(スーフル) 息、できてる?
コラム 2018.11.20

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#5 SNSには怒りがあふれすぎてないか?

インターネットという大事な居場所をこれ以上地獄にしないために、私たちはSNSとどのように向き合えば良いのでしょうか。カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方。

ほがらかSNSライフSNSで愚痴やネガティブな発言ばかりすると嫌われるという。

しかし考えて見てほしい「今日も有名IT企業の広報として大活躍、昼は恵比寿でランチ、夜は彼ピッピと麻布でディナー」のような、常に絶好調アピールアカウントだって立派なブロック案件だろう。
それに「ここ(SNS)以外、心情を吐露できる場所がない」という人間だって多くいる、私など愚痴どころか喜怒哀楽全てツイッター以外で表現できる場がない。

吐き気だって、延々我慢するより、一度吐いてしまった方が楽になるものだ、SNSはそういった「ゲロを吐く場所」としても機能しており、そこで当たり障りのないことだけ言えというのも酷な話である。

しかし、SNSはエチケット袋と違い、少なからず自分の吐いた物が周りに飛び散っている、という点で注意が必要である。

特に「怒りゲロ」を吐く時は注意が必要だ、怒りというのは喜怒哀楽の中でも感染力がかなり高く、しかも感染した方が感染元より怒っているというバイオハザードが起こりがちだ。

投稿者的には自分の身に起こった理不尽を文章化することで落ち着きを取り戻し、1人、2人の赤の他人に「それはヒドイ」「その気持ちわかり哲也」と同調してもらえれば、十分だったものが、自分が全く想定していない広がり方をしてしまうケースがあるのがSNSの怖いところだ。

それも同情の声が集まるだけならいいが「それはヒドイ」の数が増えると「そんなヒドイことをする奴は抹殺すべき」という流れになってしまうことがある。
その結果、何の関係もない人間が大勢集まって、これまた何の関わりもない他人をリンチしているという事態が最近非常によく見られる。
一見するとヒドイことをした人間が成敗されたかのように見えるが、冷静になるとすごく恐ろしいことだし、一番怖いのはいつ自分が成敗される側になるかわからない、という点である、やらかさない人間はいない、その一度のやらかしが「成敗すべき悪」と見なされ、知らない人が次々と襲い掛かってくるというのは恐怖でしかない。

中には「大将!やっちゃってくださいよ!」と、正義の人たちに悪を成敗してもらうのが目的で怒りツイートをしている人もいるかもしれないが、SNSがそういう怒りが蔓延し、大勢の正義(仮)が悪を袋叩きしていい世界観になるということは、いつ自分が悪として後ろからボコられるかわからないということでもある。
よって、愚痴や怒りを投稿するのは良いが、そういう事をつぶやく時ほど気持ちを整理する意味で、事実だけ書き感情的になりすぎないように気をつけた方が言い、感情的になればそれを読む人だって感情的になる。「さあみなさん一緒に怒りましょう」みたいな気持ちで投稿するのは止めた方が良い。

逆に言うと、他人の投稿に対して感情的になりすぎないことも大事だ。
同情したり一緒に怒ってあげるのも大事なネットコミュニケーションだが「本人に代わり全く面識のない他人を成敗してやろう」と考えてしまうのはやはり異常である。

SNSに流れてくる、理不尽や問題に対し、怒りや関心を持つまでは健全だが、その解決差が「揃いの覆面をかぶって、こいつをみんなでボコろう」しか思い浮かばない時は、とりあえずその件をそれ以上掘るのは止めて、子キャット様の動画を見よう。
「正義の人」どころか「加害者」にならないためにである。

次回は11月27日更新です。

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『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方とは?

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