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Souffle(スーフル) Souffle(スーフル) 息、できてる?
コラム 2018.12.04

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#7 ムカつくSNSアカウントを追いかけてしまう

インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案したSNSとのほがらかな付き合い方。しかし、一朝一夕に付き合い方は変えられないようで…。

ほがらかSNSライフ前にSNSをほがらかに楽しむコツは嫌なものは見ない、そして見ないようにするためブロックやミュートは積極的に使えという話をした。

これで荒れ果てたSNSにまた緑が芽吹くはずと思ったが、正直甘かった。

担当の会社の若い娘が「どうしても腹が立つキラキラアカウントを見に行ってしまう」のだという。そして、当然の如く「腹を立たせている」そうだ。

文句を言うために嫌いな相手の行動を逐一チェックしているという「逆にファンかよ」という人間もいるが、それは「文句を言うため」という目的がある分まだわかる、だがこの若い娘はそのキラキラに文句を言うわけでもなく、自分がそのアカウントを見ればそのキラキラは、ナイトプールの帰りにドブに落ちる、というわけでもなく、本当にただただそのキラキラぶり見て不愉快な気持ちになっているだけなのだろう。

バカか、と思うが、心当たりがあるという人も多いのではないだろうか

このように、我々は、台風の日田んぼを見に行く感覚で、何故か食前に肥溜めの様子を見に行ってしまうことがあるのだ。

SNSにはもう見出しを見るだけで不愉快になるとわかっている記事が流れてくる時がある。中には「胸糞注意」と「これを読むと不愉快になる恐れがありますよ」と親切に注意してくれているものさえある。

わかっているならURLをクリックしなきゃいいのだ。

それにも係らず、我々はわざわざ見に行き、胸いっぱいにクソを詰めて帰宅し、その件について一日中バチギレしていたりするのだ。

この回避可能なクソを自ら踏みに行っておいて、そのクソに憤る人間の心理は一体なんなのか。

もしかしたらこれは「プレイ」なのではないか。

つまり「わざわざ嫌な物を見に行く」のは軽度のSMであり、その人の「性癖」なのだ。

SMのMの人は、鞭でぶたれたりろうそくを垂らされたりしても痛くなく、ただ気持ちいいかというとそうではなく、ばっちり痛いし熱いのだ。

肉体的には間違いなく苦痛だが、性的な部分では気持ちいいのだ。

つまり嫌な物をわざわざ見に行くのも、見て腹立たしいという気持ちもホンモノだが、自分でも気づかない部分でそれを気持ちいいと感じているから、わざわざ何度も見に行ってしまうのだろう。

そして「性癖」というものは変えようがないので「食前肥溜めチェック癖」に生まれたその若い娘は諦めて、ダメとわかっていながらちょくちょく自らクソを踏みに行って自らの癖を満たすしかないだろう。

気をつけるとすれば「プレイを人に見せない」ことだ。徳の高い変態ほど、公衆では紳士であり、定められた密室でしかその癖を見せないのだ。

つまり「プレイ内容をSNSに書くな」ということだ。

この若い娘で言えば「このキラキラアカウントが今日はこれだけキラキラしていてムカつきました」とわざわざ人様の見えるところに書かないことだ。

おそらく、ムカつくアカウントや、痛いアカウントを見て負の感情を巻き起こすことがやめられない癖の人は割と多いと思う。だが「あまり褒められたことじゃない」と自分でわかっていることはSNSに書くべきではない。何でもSNSに書きがちな我々にとって「書くべきじゃない」ことを見極めるのは大事なことである

「プレイは自己完結、周りを巻き込むな」それが重要である。

次回は12月11日更新です。

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『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方とは?

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