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Souffle(スーフル) Souffle(スーフル) 息、できてる?
コラム 2018.12.18

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#9 SNSで、他人の自撮りにムカついてしまった

SNSという大事な居場所をこれ以上地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方。

ほがらかSNSライフいつも何かしらSNSにムカついているという担当の友人だが、今は「一般人のクセに顔を隠して自撮りを上げてるインスタ女がムカつく」そうだ。

彼女の問題は全て「SNSではなく緑を見る」で解決しそうな気がするが、我々人間には「クソを自ら鑑賞しに行って怒る」という奇癖を持っている者が少なくないのだ。
おそらくこの担当の友人も趣味欄に「ウンコ鑑賞」と書いているタイプなのだろう、趣味ならば仕方ないのだ。

だがそれとは別に「SNSの自撮りにムカつく」というという心理はなんなのだろう。
猥褻画像や死体画像を載せたというなら重大な規約違反であり、不愉快に思う人が多いのもわかる。
しかし、確かに光を当てすぎて水死体より白くなってしまっている自撮りもあるが、それでも生きていて服を着ている人間の写真なら載せて何が悪いのか、という話である。

正直その自撮りが美人でもブスでも「苛立つ気持ち」の内容は同じなのである。

美人だったら「こいつ自分のこと美人とわかっていて載せているな。スタバの新商品撮るフリして、写ってんの半分以上てめえの顔面じゃねえか、どうせ「いいね」と「かわいい」リプ待ちだろ、つーかそもそも美人か?」と苛立ち、ブスだったら「ブスのくせに」とムカついているのである

ブスへの苛立ちがシンプルすぎる気もするが、結局両方「自己顕示意欲」が鼻についてムカつくということである。
そして「自撮り」というのはわかりやすく自己顕意欲欲がにじみ出ているからだ。

しかし、人に構われたい褒められたい、という承認欲求は誰にもある。そしてSNSがこれだけ普及したのは、それが「インスタント承認欲求満たし装置」だからだ。

最近、他人に面と向かって「いいね!」と言われたことがあるだろうか。
私はいくら記憶を遡っても出てこないので、もしかしたら「生まれた瞬間」ぐらいしか言われたことがないのかもしれない。
そんな36年かけて一度いただけけるか、いただけないかの「いいね」を、いとも容易くいただけてしまうのがSNSなのである。
承認欲求を標準装備した多くの人間がはまるのも道理というものだ。

だが承認欲求を持っているのが普通にもかかわらず「人間は他人の承認欲求に死ぬほど厳しい」という機能も同時搭載してしまっている場合が多いのだ。

よって「自撮り」などから少しでも「承認欲求の香り」がすると「承認欲求の臭いがプンプンしやがる!ファブリーズ持ってこい!!」と苛立ってしまうのである。

しかし、人間の多くが承認欲求を持っていてSNSがそれを気軽に満たせるツールな以上「SNSをやっていて他人の承認欲求を見ない」というのは不可能だ、ジャングルに住んでいて視界に木を入れるなというぐらい無理である、

だとしたら「他人の承認欲求に鈍くなる」しかない。
担当の友人がムカついているのも「自撮りだけでもムカつくのに中途半端に顔隠しやがって有名人気取りか?隠すんだったら最初から載せるんじゃねえよ、どうせその隠してる顎がしゃくれてんだろ」というところまで「読んで」しまったからである。

「承認欲求の香り」がしても、それを「深く読まない」ことが重要なのだ。
「この人は何故か寝起きすっぴんの顔をSNSに載せたくてたまらなくなっちゃっただけなんだろうな」と、他人の承認欲求には乙女ゲーのヒロイン並みに鈍くなることが大切である。

次回は12月25日更新です。

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『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

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