『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?
#42 ツイッターから離れたらこうなった。
タイムロッキングコンテナ、その後。
先週書いた「タイムロッキングコンテナ」について、皆さまから多くの関心をいただいた。
正確な人数は「一名」そして「担当」なのだが、Gも1匹見たら30匹いるというし、担当が1人でも気になったと言うなら、読者も30人くらい気にしているのではないだろうか。
その前にこのコラムに読者が30人以上いるのか、という問題があるが、このコラムのテーマでもある私の大好きなツイッターは「誰にも聞かれていないことを勝手に話すツール」である。
その達人である私にとって、誰も興味を示していないコンテナの話を1000字程度するなんて朝飯前である。
タイムロッキングコンテナとは、タイマー式の箱であり、その中にスマホなどを入れてロックすると、時間まで開けることはできない。
これを使うことで、スマホとインターネットに触れる時間は格段に減り、ツイッターも一日68時間が、42時間ぐらいに激減した。
だが結果的に良かったと思っている。
もちろん、自分が禁煙した途端「まだ有害な煙買ってんの?」と喫煙者をバカにする人間のごとく「まだSNSで消耗してるの?」などというつもりはない。
時間を制限することにより、ネットに触れている時間がより「濃密」になったのだ。
私はペペロソチーノを1年中300日は食い続けた人間なので、ネットやツイッターもいくらやっても飽きることはない。
だが、あえて3日ぐらいミートソースを食ってみることも大事である。
ミートソース明けのペペロソは「こんなのはじめて食った」というレベルで美味いからだ。
ネットも時間を空けることで「何これ、楽しい、インターネットっていうの?」と、今日初めて出会ったかのようなときめきを覚えられるのである。
つまり「愛しているからこそ距離を置く」という、ネットとの関係が一段高度な「ネクストステージ」に「進んだ」ということである。
「ネットやスマホとの関係にマンネリを感じている」という人にもおすすめのアイテムだ。
タイムロッキングコンテナの使い方だが、私は「45分」で設定している。
やろうと思えば「丸一日」とかも可能だが、禁断症状で箱を破壊しては意味がない。
45分、スマホとネット別れたあと、久方ぶりの逢瀬をしてまた別れるという繰り返しをしている。
別居してからの方が仲良くなる夫婦のように、この方式にしてから、私とネットとの絆はさらに深まったのだが、この方法にもまだ問題はある。
「別れが惜しい」のだ。
久しぶりに会ったスマホとの別れが惜しすぎて、45分スマホと別れ、2時間スマホとデートする、みたいなことをしてしまうのである。
しかも、アイドルの握手会のように「はがし」がいないので、私とスマホの仲を引き裂く者はいない。
それならば最初から「2時間」とかに設定しておけば良いのだが、当然コンテナに入れている間は電話がかかっても取れない。
私に電話をかける人間など皆無なので、杞憂と言えば杞憂なのだが、親が危篤との報を受けれず、死に目に会えなかったら大ごとだ。
その前に2時間もスマホと離れたら「オレ、危篤」の報をみなに送らねばならない。
自分で遠ざけなくても、時間になったらゲーム機を取り上げてくれる「お母さん」などの存在はありがたいものだったのだ。
「うざい」などと思ってはいけない。
次回は8月20日更新です。

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫
OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方とは?
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