SKE48鎌田菜月が『アナトミア』を推す理由
アイドルグループ・SKE48として活躍する鎌田菜月さんは、大の漫画好き。ご自身がパーソナリティを務められるラジオ番組「SKE48 鎌田菜月のサクラバシ919」内で、『アナトミアー解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできているー」(著/高城玲)をおすすめくださったことを知り、今回Souffleでは鎌田さんに作品の魅力について伺いました。
(取材・文/粟生こずえ)
「人体解剖」というテーマの珍しさに惹かれて
──鎌田さんはマンガ通で有名ですが、『アナトミアー解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできているー』(以下『アナトミア』)を読んだきっかけは?
鎌田 本屋さんの新刊コーナーをチェックしていて「これは!」と手に取ったんです。日々、ネットやSNSでマンガの情報を得ていますけど、買うときは書店で見て選ぶことが多いですね。
──前情報ナシで、店頭で見てピンと来たというわけですね。
鎌田 そうです。「人体解剖」というテーマの珍しさに惹かれました。「―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできているー」という副題もパンチありましたし。それから、帯に菅野文先生がコメントを寄せていたのも。菅野先生の『薔薇王の葬列』が大好きなものですから。実際読んで、大当たりでした!
──本作に魅力を感じたポイントは?
鎌田 レオナルド・ダ・ヴィンチというだれもが知っている偉人がキャラクターとして登場しつつ「フィクション」として物語を作っているところがおもしろいですね。史実と創作の混ざり具合が興味深いです。
──物語は理髪外科医のトトと、変わり者の画家であるダ・ヴィンチという異なる職業の2人の出会いから始まります。医学と美術の視点から「人体解剖」というテーマが扱われる設定は斬新ですね。
鎌田 15世紀の人たちが人体の正しい構造も知らず、昔から語り継がれてきた間違った知識を鵜呑みにして医療技術を施していたなんて衝撃的でした。でも、こんなふうに新しいことを教えてくれるマンガ、大好きなんです。好奇心で生きてる人間なので。
──たとえば心臓が血液を送り出しているなんて現代では常識ですが…だれかが大変な努力をして解明し、誤解を正してきたのだと気づかされます。
鎌田 そうか、こういう人たちがいなかったら今の世界はないんだとハッとします。しかも、当時は宗教観にもとづいた考え方が絶対ですから「科学的に正しい」と主張しても通らないどころか、「神の冒涜」と判断されてしまう。そこを覆していくのはまさに命がけ。ドラマが盛り上がるところです。
──緊迫感がある一方、男性2人のコミカルなやりとりも読みどころですよね。
鎌田 この感じ、大好きです! ブロマンス的なところに胸が熱くなるタイプなので。トトとレニー(レオナルド・ダ・ヴィンチ)は同じ方向を向いているようで、最終的な目的は違うんですけど…その2人がひとつのことに向かってがんばるところに胸が熱くなってしまいます。
サプリメントとしてのマンガ
──ひと月にどのくらいマンガを買っているんですか?
鎌田 最低でも20〜30冊くらいかな?
──かなりのマンガ読みですね! 好きなジャンルは?
鎌田 ジャンル問わず読みます! 12歳のとき、人生で初めて自分のおこづかいで全巻揃えたのは『D.Gray-man』という少年マンガでしたし、恋愛ものも読みますし。「おもしろそう!」と思ったらとにかく買ってみます。マンガ家さんのインタビューもよく読んだりするんですが、連載マンガでも必ずしもコミックスになるとは限らないと知って。買えるときに買わなきゃ、という気持ちもあります。
──日々、お忙しい中でマンガを読む時間を確保するのは大変では?
鎌田 子どもの頃から読む習慣はずっとあるので…。マンガは、自分の中ではサプリメントみたいなところがあります。気持ちが落ちてるときだったら、明るい作品を読んでみようとか。「ちょっとあたし今、調子に乗ってるんじゃない?」っていうときは厳しい作品を読んだり。
──『アナトミア』はどんな作用があるのでしょうか。
鎌田 冒頭はトトの苦悩など重い描写もありますが、自分の信念を貫こうと困難に立ち向かっていく姿に勇気づけられ、ワクワクしながら読んでいます。プラスに働く、気持ちを前へとひっぱってくれる作品だと思います。
──『アナトミア』の好きな場面を教えてください。
鎌田 トトが、自分の「サルヴァトーレ(救済者)」という名前との矛盾に泣くシーンにグッときました。そんな名前をつけられながら理髪外科医としてまったく人を救えていない自分との隔たりに苦しむという。
『アナトミア』はキメ絵がカッコいいんですよね。作者さんが、今このシーンをビシッと見せたいというのが伝わってくる。映画でいえばクライマックスで音楽も最高潮みたいな高まりを感じてシビれます。
──今後の展開で気になるところは?
鎌田 トトとレニーって「人体の正確な構造を知る」ことを目的として仲間になったわけですが、それぞれにゴールとする目標は違いますよね。それがどこかでクロスするのか、平行線のままに尊重しあっていくのか。トトの理髪外科医という職業の地位は上がるのかとか。この時代の一般市民みたいな人たちの感覚にも興味がわきますね。あ、あとトトの絵がうまくなるのかも注目してます(笑)。
作品としては人体解剖という大きいテーマがありますけど、この2人がどういう人生を描いていくのかも気になるところです。だいぶ危険な橋も渡っているので…できればハッピーな結末になったらいいな。
──鎌田さんにとって、トトたちのように何かを必死で追い求めた経験といえば?
鎌田 トトたちのように立派な生き方はしてないですけど…。48グループの年に1回の「総選挙」にランクインするために何をしなければいけないかを考え続けることでしょうか。総選挙は、自分が今まで何をしてきたかが問われるものです。各グループ60人くらいの中でシングル曲を歌えるメンバーは一握りですから。結果を出すために、日々がむしゃらにがんばる、考えることを続けています。
おもしろいマンガの魅力を伝えたい
──鎌田さんは「SKE48二次元同好会」の会長を務めていらっしゃるそうですね。
鎌田 はい。私は6期生で6代目会長なんですが、この同好会はSKE48の1期生が立ち上げたものなんです。
──アニメやマンガを世に広めるために結成されたのでしょうか。
鎌田 アニメやマンガ好き同士が集まって情報共有しようというのがきっかけだったそうです。握手会でコスプレしちゃうとか楽しんでやっている中で、結果的にお仕事にもつながっていって。
──では、最後にマンガ好きの読者の方々に向けてメッセージをお願いします。
鎌田 マンガというのは夢を見せてくれたり現実逃避できる側面もあれば、自分の仕事や生き方にアドバイスをくれる存在でもあると思うんです。『アナトミア』のトトのように、ハッと自分を振り返るきっかけをくれたり。友達だったり、ときには先生や親のようだったり…いろんな立場になりうる存在だと思います。みなさんも、これからもいろんな出会いを楽しんでもらえたらいいなと思います。おもしろいマンガがあったら教えてくださいね!
1996年8月29日生まれ。愛知県出身。人気アイドルグループSKE48の6期生。大のマンガ好きで、「SKE48二次元同好会」の会長をつとめる。
高城玲『アナトミアー解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできているー」
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