『やさしいミルク』PV出演 田丸篤志さんスペシャルインタビュー!
“女性用風俗”というちょっぴりドキッとするテーマを、繊細かつ柔らかいテイストで描いた話題作『やさしいミルク』。小説家・青葉よもぎの家に通う家政夫でありながら、女性用サロンのセラピストでもある金城凛を本作のSNS用PVで演じたのは、声優の田丸篤志さん。アフレコ直後のフレッシュな感想を聞かせてくださいました。
取材・文/篠崎美緒

感情が揺らいでいる金城くんを演じるのは難しかった
──『やさしいミルク』を読んだ際の感想を教えてください。
こういった題材の作品を読むことがなかったので、新鮮でした。身近ではないものなので、ある意味リアルじゃない世界のように感じるんですけど、すごく身近にも感じる不思議な感覚がありました。
──作中で印象に残ったエピソードは?
ピンポイントでここというよりは、金城くんが少しずつ変化をしていくじゃないですか。そのグラデーションの揺らぎみたいなものが、美しいなと。最初は金城くんとシロで切り分けていたはずなのに、エピソードが続くにつれて、どちらなのかわからない瞬間があるように感じました。金城くん本人も「今はシロなのか金城凛なのかわからない」と思っているんじゃないかと思うほど、ゆらゆらと中央に寄っていく感じがして、不思議な感覚でしたね。
──演じた金城凛のファーストインプレッションを伺えますか?
家政夫としての表情しか見えなかった序盤は、普通にいい子なんだろうなと。でも読み進めていくと、シロという存在はもちろんですが、金城くん自身も表面上はいい子ではあるものの、過去も含めて純粋に明るかったわけではないんです。もしかしたら自分がやりたくて選んだ道ではなく、生きていくために仕方なくそうなったのかなというところも含めて、一人の人生だなと思いましたね。
漫画やアニメの作品で誰かを語る時に「このキャラクターは〜」と言うんですけど、『やさしいミルク』の登場人物はキャラクターというよりも本当に一人の人間みたいな、ある意味で実写と変わらない印象でした。
──金城を演じてみて、いかがでしたか?
いやぁ、難しかったですね……。彼の感情が果たして今どこにあるのか、彼自身も多分わかっていないんです。「僕はシロとしてお客様を喜ばせるために、このセリフを言う」という思いは当然あるでしょうし、いろんなお客様を相手にしてきた中で自然と培われた部分もあると思います。序盤で、「元気ないですね」とよもぎさんを気遣う言葉をかけるじゃないですか。あれは金城くんが本来兼ね備えている要素に加えて、いろんな女性と相対していくうちに身についた、女性の様子を読み取る能力でもあるように感じました。それも金城くんの一部なわけで。金城くん自身、自分の中の割合が“シロが何%・金城くんが何%”なのか分かっていないところがある。そういう金城くんを演じるのは、すごく難しかったです。僕が読んでいて「今の金城くんの割合はどれくらいなんだろう」とハテナマークが浮かんだように、PVを見てくださるみなさんにも「ここの金城くんは、どうなんだろう?」と思っていただけたらうれしいですね。

あの言葉を口にしたのは、完全にノックアウト
──金城と田丸さんとの共通点や、共感する部分はありますか
彼の深い人生との共通点はないように思いますが…個人的に好きで、 PVに入っていてうれしかったのが猫とのシーン。金城くんの子供っぽい姿が一瞬見られる気がするし、僕も動物好きで一緒にいるとはしゃいでしまうところがあるので、そこですかね。

──一番好きな動物は?
うわぁ、難しい質問ですね(笑)。でも身近な生き物だと、犬かな。僕が構ってほしい時に、構ってほしいです。猫ちゃんだと、こちらが「構って」と言ってもプイッとしたりするので。猫はそこが可愛かったりするんですけどね。
──役作りをする上で、特に意識したところは?
男女ともに共感する作品のような気がしますし、いろいろ刺さる作品だなと思いつつも、基本的には女性の読者さんが多いと思うので、そういった方にちょっとキュンとしていただけるシーンを作りたいと思っていました。ただ、先ほどもお伝えしたように金城くんにはリアリティがあって、キャラクターというよりは一人の人間だと感じていたので、露骨に「さあ、ここはキュンとさせるシーンだぞ」という芝居は絶対に違うと思いました。ナチュラル加減を大事にしつつ、自分の中でのバランスは気をつけながら演じましたね。
──今回演じた中で、田丸さんの推しゼリフは?
「自分でももう わかんないです」というセリフは、いいなと思いました。これまでの揺れ動きの中で、金城くん自身が戸惑っている。そもそもよもぎさんと最初に接したのが家政夫としての姿なので、セラピストとして対面している他のお客さんとよもぎさんは違ったのかもしれません。そうして接していく上で、自分の中でいろいろと葛藤が生まれ、いよいよ声に出して認めるしかなくなった、その瞬間がいいなって。嫉妬心みたいなものがつい表に出てしまったり、これまでも態度には表れていたと思うんですけど、それをはっきり言葉にしてしまったのは完全にノックアウトでしょう。その瞬間はいいな、と思いましたね。

──改めて、『やさしいミルク』の魅力はどこに感じますか?
各キャラクターの人物たちの、心の揺れ動きが一番だと思いますね。人間ってずっと元気なわけでもなく、一方でずっと悩み続けているわけでもなく……とはいえ悩みは尽きないかもしれませんが。現実でも「好きなのかな」「そうじゃないかも」「そんなこと思っちゃいけない」みたいに、気持ちってあっち行ったりこっち行ったりするものですよね。そういう心情を登場人物たちから感じられるからこそ、作品自体が身近に感じる要素なのかなと思います。結果、すごく惹きつけられますね。
── PV の聴きどころをお願いします!
原作全体を通しても同様ですけど、やっぱり登場人物の心の揺れですかね。感情が右往左往しますが、それが慌しいわけじゃなく、揺れ動きのテンポがリアルなんです。「人が悩む時って、こういう感じだよな」と思いました。題材自体はそれほど身近ではありませんが、にもかかわらず感情をリアルに感じられることが魅力だと思います。
田丸篤志(たまる・あつし)2月27日生まれ、埼玉県出身。A型。2009年、『クプ〜!!まめゴマ!』の佐々木さん役でデビュー。代表作に『ガンダムビルドダイバーズ』のナナセ・コウイチ役、『刀剣乱舞 廻−虚伝 燃ゆる本能寺−』の一期一振役、『桃源暗鬼』の淀川真澄役などがある。2026年、『逃した魚は大きかったが釣りあげた魚が大きすぎた件』でレナート・ディ・ルビーニ役を演じる。
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