『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#73 家で時間を浪費する自分に凹むループ
今週の相談:家でやることがなく、ただただ寝て食べてを繰り返しています。寝る前にだらしない自分の1日を反省し落ち込んで眠れず、また翌朝起きるのが遅くなり…の繰り返しです。このような現状をどうしたら打破できるでしょうか。
家でやることがなくダラダラ過ごしてしまう。
こういったことは昔から言われていて、一言で言えば5月病に近いのではないでしょうか。
日本の社会では、一般的に4月に進学や就職、転居などで新しい環境に変わります。はじめのうちはやる気に満ちいい意味で緊張を保っていますが、気づかないうちにストレスはたまっているもの。ちょうど環境にも慣れ始めひと息つく頃にGWを迎え、それが明けてみると、学校や会社に行きたくない、なんとなく体調が悪い、授業や仕事に集中できないなどの状態になりがちです。これが世に言う「5月病」。
今回のコロナでも、多くの人が日常生活に大きな影響を受けています。
地域によってタイミングに差はあれど、感染の拡大や緊急事態宣言の発令などを考えると、ちょうど通常の新年度のスタートと合致するタイミングで顕著な変化が現れたのではないでしょうか。そう思えば、そろそろGWに入ろうとかというこの時期、なんとなくやる気が起きない……となるのも頷ける話です。
さて、5月病が「病」だと捉えられているのは、そのようにだらけていては状況では困る状況が目の前にあるからだとも思うのですが、どうでしょうか。
GWが明けて学校が始まる、仕事が始まる。けれどやる気が起きない。たしかにそれでは不都合があります。
けれどそういうわけでもないのなら、ダラダラできるときに思い切りダラけてみればいいのではないですか?
人間、本当に必要に迫られればいつでもどんなことでも「頑張ってみようかな」という気力ぐらいは湧くものです。結果がついてくるかどうかはさておいて。
環境が変わってしまったことも、やる気が起きないことも、たちどころに解決できるような魔法はありません。
今困っていることは何なのか。それが「ダラダラ過ごしてしまうことへの罪悪感」なら、やることもないのにダラダラして何が悪いの、くらいに開き直ってみてはいかがでしょうか。
大切なのは、自分で自分に納得して、苦しみを抱え込まないことです。
その間にも、自宅でも溌剌と自分磨きをしている人がいるでしょう。制限のある中でも、できることはいくらでもあります。それを見つけて実行するかどうかは心持ち一つ。そのような心持ちになれれば大変素晴らしいことですが、なれないならなれないで、せめて自分を責めることなく、心穏やかに機嫌よく過ごしたいものです。
そのうちダラダラするのに飽きて何か始めたくなるかも知れませんし、この状況が終わって嫌でもビシッとセざるを得なくなるかも知れません。そのときはそのときです。
ダラダラすること自体に罪はありません。
今の自分を、長い人生こんなときもあるよね、まあいいよね、くらいに受け止めてみてください。
次回は5月11日更新です。
今後の最新コンテンツが気になる方は、ぜひSouffle公式Twitterをフォロー!