『「もえこと畑とお寺ごはん」がもっと楽しく! 萌飯コラム』青江覚峰 料理僧として活躍する緑泉寺住職の美味しいコラム!
3話 「お腹」の声に耳を傾けてみると…。

「話す」ことも大事ですが、「聞く」ことはもっと大事。何事も相手があってこそ。料理もその時の状況に応じて、喜ばれるものが変わってくるものです。
エレガンスイブ2026年2月号で「もえこと畑とお寺ごはん」も、第3話となりました。今回のお話の中で、穂高くんが「コミュ力ない」と漏らす場面がありました。
コミュ力。より良いコミュニケーションを取れる能力。最近何かと耳にする言葉です。コミュニケーションに関して、私には大切に心にしまっている言葉があります。結婚して間もない頃、妻に言われたものです。

「あなたは、というかお坊さんは、かもしれないけどさ。話をするのはうまいけど、話を聞くのはうまくないよね」
ドキッとしました。我々はお坊さんになるための勉強をする際に、「法話(お説教)の内容をどう考えるか」とか、「どう話を組み立てるか」などを学びます。しかし、どれだけいい話を組み立てても、相手に望まれないものだったらなんの意味もありません。
あちこちで話題にされるコミュ力ですが、コミュ力が高いというのは、決して話がうまいとか、話題が豊富だとかだけではないでしょう。
思いついた面白い話を楽しく喋りたい。せっかく覚えたこれを理論立てて話したい。せっかく書いたメモをかっこいい文章にして載せたい。
そう思うのは自然なことです。けれど、それが相手にとって望ましいものでなければ、どんなに饒舌に語っても、決して喜ばれることはありません。そればかりか、疲れさせたり、がっかりさせたりしてしまいます。そうならないためには、まずは話を聞く。その態度が大切です。相手の言葉を聞き、様子を見、求めているものを感じ、それに適したものを返す。伝えたいことがあるときほど、それをしっかりと受け止めてもらうためには大事なことです。
料理も同じことが言えます。
年末年始は、何かと外食が続く季節。お腹が疲れている人にお出しするのに、どんなに豪華でも美味しくても、フレンチのフルコースは考えものです。それよりも、おもてなしという意味では手抜きに思われようと、冷凍ご飯をチンして作った一杯のお茶漬けのほうが、実際には喜ばれることがあるかもしれません。
会話にしても、料理にしても、コミュニケーションには必ず相手がいます。自己満足に終止しては、決して良いコミュニケーションにはならない。そんなことに気づかせてくれた、妻の言葉でした。
作品を読んでくださっている方の中には、「コミュ力がない」と肩を落とす穂高くんに共感する人も少なくないでしょう。そんなお悩みから脱するはじめの一歩は、上手に話すのではなく、まずよく聞くこと。それに尽きるのだと思います。
第3話で穂高くんの作っていたドライトマトとオリーブのコロッケのレシピを紹介!

【材料(4人分)】
じゃがいも 250g
ブラックオリーブ 15g(種抜き瓶詰)
ドライトマト 5g
A
セージパウダー 少々
塩 2つまみ
胡椒 少々
オリーブオイル 大さじ1 と1/2
片栗粉 適量
小麦粉 適量
水 適量
→水溶き小麦粉 水1:小麦粉1
パン粉 適量
【作り方】
1 じゃがいもを皮付きのまま串がすっと入るまで茹で、皮を剥きマッシャーで潰す。
2 ブラックオリーブとドライトマトをみじん切りにし、Aとともに1に入れ、よく混ぜる。
3 一口大に丸め、片栗粉、水溶き小麦粉、パン粉の順に表面にまぶす。
4 180度に熱した油で表面がきつね色になるまで2分程度揚げる。
じゃがいもは形の悪いものでも多少皮がついていても、きれいに洗って入れてしまえばいただけます。皮はシャクシャクとした触感があるので少し入れるとより良いくらいです。
次回は1月26日公開です。
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