『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#11「発達障害と睡眠障害って関係しているの?」
寝つきが悪かったり、すぐ目が覚めてしまったり…。子どもがうまく眠れないのは、もしかしたら発達障害のせいかもしれません。
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発達障害の子どもは睡眠障害を併発する場合が多い
睡眠障害は、発達障害のある子どもに多くみられることが知られています。おもな睡眠障害には、眠りに入りづらい入眠障害、夜中に起きてしまう中途覚醒、朝早くに起きてしまう早朝覚醒、睡眠・覚醒リズムの異常があげられます。
睡眠障害の原因には、睡眠を導く脳のメカニズムの異常のほか、発達障害のある子の持つ特性も大きく関係しています。
【発達障害(知的障害、自閉症スペクトラム、ADHD)の睡眠障害の原因】
・周りの状況(夜、みんな寝ているなど)を察知することが難しい
・他人の要求に注目しづらい
・体内サイクルに基づいて行動しづらい(眠いから寝ようなど)
・感覚過敏のために、いろいろな刺激が気になって眠れない
・日中のストレスや不安、興奮をコントロールすることが難しい
・入眠時間になっても落ち着けない
・先の見通しを考えない衝動的な行動(指示に従わず、目についたことをしてしまう)
・ゲームやTVに過度に集中してしまう
・入眠までの行動(宿題や入浴など)に時間がかかりすぎてしまう
睡眠障害で眠れない日が続くと、子どもの成長・発達を妨げるばかりか、多動や衝動性、癇癪(かんしゃく)などの問題行動が悪化してしまいます。また保護者も睡眠不足となって疲れ果ててしまうため、好ましい声がけを行えるような家庭環境をつくる余裕がうまれません。したがって発達障害のある子どもにとって睡眠障害を治療することはとても重要なのです。
環境を整えましょう |
●寝室をチェック! |
薬物療法も重要です
環境を整えて、眠れる経験を重ねていくと睡眠習慣が身につきます。眠れる経験のためには、薬を使った治療がとても有効です。ムーちゃんが服用したメラトニンは、体内で分泌され、眠気をもたらしてくれるホルモンです。アメリカでも発達障害のある子の寝つきを改善させるために最初に使われる薬で、薬の安全性を確かめる試験でも副作用がないと報告されています。ただ中途覚醒にはあまり効果がないため、困りごとの状態によっては他の薬が使われることもあります。
ムーちゃんからひとこと |
【参考文献】
・谷池雅子/編集『日常診療における子どもの睡眠障害』(診断と治療社、2015年)
・Necco当事者研究会報(現・おとえもじて当事者研究会報)『第51回うまく眠れる?起きられる?』
・兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター/編集『いま、小児科医に必要な実践臨床小児睡眠医学』(診断と治療社、2015年)
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