『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#38「おうちに知らない人が来ると、どうなっちゃう?」

自閉症や発達障害のある子どもたちは、新しい人や場所、急な変更などが苦手な傾向が。その理由と対処法をお伝えします!
「見通し」と「予定変更」が苦手
ムーちゃんのおうちに、紗英が遊びに来たとき、ムーちゃんはパニックを起こしてしまいました。これには、おもに自閉症スペクトラムの特性2つが関係しています。
【想像するのが苦手】
ひとつめの特性は「想像力の欠如」です。想像力が働きづらく、次にどうなるのか・どうしたらいいのか、見通しを立てられません。知らない街で手がかりなく進む不安を想像してみてください。個人差はあるものの、自閉症の人は、自分の行動や人との会話の行方、まわりの状況など、さまざまな場面で見通しが立たずに不安を抱えています。ムーちゃんも、知らない人が家に来たとき、どう振る舞えばいいのかわからなくて混乱してしまったのかもしれません。

「ムーちゃんと手をつないで~自閉症の娘が教えてくれたこと~」8巻より
【こだわりが強い】
もうひとつの特性は「マイルールへのこだわり」です。例えば……
・帰り道はこのルート
・朝は9時きっかりに家を出る
・シャツ、ズボン、靴はこれ
・お弁当のおかずはいつも同じ
自閉症の人は「いつもどおり」が叶わないことに耐えがたい苦痛を感じ、予定の変更をなかなか受け入れられません。想像することが難しいために「いつもどおり」に安心感を求め、それがこだわりにつながるとも考えられています。ムーちゃんは急な環境変化に対応できず、パニックになってしまったのかもしれませんね。
予告しよう! プランBも忘れずに
新しい場面や場所、予定が変わったときのパニックを防ぐためには「予告」が大切です。自閉症の人の多くが、耳で聞くより目で見る方が情報を理解しやすいため、メモで予定を見せると、次に何が起きるのか想像しやすくなりますよ。とはいえ、思いどおりにならないのが人生というもの。予定変更が起きることにも、少しずつ慣れていく必要があります。予定表には「プランBの場合もあるよ!」と、予定が変更することもあることを予告してあげると、見通しが立って心の準備がしやすくなるかもしれません。急に予定が変わったときにも、いきなり伝えずにメモを活用してみてくださいね。

ムーちゃんからひとこと |
【参考文献・サイト】
・内山登紀夫/監修、伊藤久美/編『新しい発達と障害を考える本5 なにがちがうの?自閉症の子の見え方・感じ方』(ミネルヴァ書房、2014)
・本田秀夫/著『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』(SB新書、2013)
・奈良県立教育研究所『特別支援教育ガイド1 新しい学びの創造 幼児編』P1~27、P28~53(2024/05/28参照)
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