『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#39「作業所ってどんなところ?」

障害があっても働ける場所があります。でも、そこにはいろいろな問題も…。
就労を通じた社会参加の場所
働くことは、単にお金を得る手段ではありません。障害のある人々にとって、就労は「社会参加」という大切な手段のひとつです。障害者総合支援法に基づく就労支援サービスには、①就労移行支援②就労継続支援③就労定着支援、の3つの種類があり、障害の種別を問わず利用できます。

「ムーちゃんと手をつないで~自閉症の娘が教えてくれたこと~」⑧より
彩の話していた作業所は、就労継続支援サービスを提供する事業所のことですね。2006年、障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)の施行によって、それまでの作業所は「事業所」に移行されました。移行後も、彩のように事業所を作業所と呼ぶことも多いようです。事業所では、障害があって一般企業で働くのが難しい人に、自分のペースや体調に合わせて働き、知識やスキルを身につけるための支援を提供します。就労継続支援には、雇用契約の有無により「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2種類があります。次に、それぞれの特徴を紹介しましょう。
【就労継続支援A型】
A型は、雇用契約を結んで働く「雇用型」とも呼ばれる支援です。利用者と事業者の間で雇用契約が結ばれ、約8.4万人が働いています※。最低賃金が保障され、労働基準法なども適用されます。A型では、一般企業への就労を目指した支援も行われ、カフェやベーカリーでの接客、調理、包装、データ入力作業など、一般企業と同じ業務に取り組みます。
【就労継続支援B型】
B型は、雇用契約を結ぶことが難しい障害者を対象とした支援で、約32.9万人がサービスを利用しています※。彩がムーちゃんの働き場所として想定しているのはB型でしょうか。利用者は、パンやクッキーの製造、手芸作品の制作などの軽作業に参加し、その作業分に応じた工賃が支払われます。A型や一般企業への就職したい人々も、B型で段階的に経験を積むこともできますよ。
※令和5年3月時点
B型の時間給は243円!?
工賃の低さやA型との賃金格差は、B型の抱える大きな課題です。令和4年度の平均時間額は、なんと243円! 工賃の中から、利用料など必要経費が控除された額が支払われます。少しずつ工賃は引き上げられてはいるものの、未だに低いと言わざるを得ません。利用者の障害が多様化し、生活支援も必要な人が増えているため、スタッフの確保や生産量の増加など、実現は難しい現状です。
【参考文献・サイト】
・厚生労働省『障害者の就労支援対策の状況』
・厚生労働省『各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル 障害者の「働く」を支える体制づくり 平成29年3月改定』
・社会福祉法人和枝福祉会監修『一生涯にわたる安心を! 障害のある子が受けられる支援のすべて』(ナツメ社、2021)
・遠山真世著『報告 障害者就労継続支援B型事業所における就労支援の現状と課題(1)―Z県内3事業所の質的調査から―』(高知県立大学紀要 社会福祉学部編、2017)
・中尾文香著『障害者授産施設の変遷と就労継続支援B 型事業所における知的障害者のディーセント・ワークのあり方について』(東洋大学大学院紀要、2014)
(Webは2024/08/30参照)
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