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Souffle(スーフル) Souffle(スーフル) 息、できてる?
トピックス 2019.09.30

【特集】

菊池真理子×武田友紀 対談「生きづらさを感じる“繊細さん”──HSPって何?」(1)

大人数の場が苦手、細かいところに気がつきすぎて疲れてしまう…。こんな悩みを持つ人は、もしかしたら「繊細さん(HSP)」かもしれません。漫画家の菊池真理子さんが、HSP専門カウンセラーで、『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』の著者・武田友紀さんへHSPとの向き合い方について聞きました。

その場の空気を察知する「繊細さん」

武田 じつは、菊池さんの『酔うと化け物になる父がつらい』を拝見していまして。階段からお母さんが上がってくるシーンを読んで「あ、菊池さんもHSPなのかな」って思っていたんです。お母さんの行動を察知するところや人の悲しみが流れ込んできているのを感じるところから、繊細な方なのかなって。

(『酔うと化け物になる父がつらい』より)

(『酔うと化け物になる父がつらい』より)


(『酔うと化け物になる父がつらい』より)

(『酔うと化け物になる父がつらい』より)


(『酔うと化け物になる父がつらい』より)

(『酔うと化け物になる父がつらい』より)

菊池 あのときは悲しみがめちゃくちゃに流れ込みすぎていたので(笑)。でも、階段を登って来るのがわかるっていうことがHSPとも関係あるんですね。

武田 些細なことを察知するのも繊細さんの特徴です。例えば、朝オフィスに入った瞬間、その場の雰囲気をなんとなく感じる、とかですね。今日はなんだかみんなピリピリしているなとか、どんよりして重たい空気だなとか……。

菊池 なるほど、そうだったんですね。

武田 菊池さんがHSPを知ったのはいつ頃だったのですか?

菊池 最初にHSPという言葉に出会ったのは、知り合いが紹介してくれた『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』という本でした。読む前に、その場でHSP自己テストをやってみたのですが、そのときはまだ全然知識がなかったので動物占い的なものかと思っちゃってたんですよね。だから、自分がHSPだってことにしばらく気づかなかったんです。

武田 そうだったんですね。

菊池 それで最近、知り合いのおがたちえさんという漫画家がHSPのことを漫画で書き始めて、私にもそういうことがあるって話をしたら「HSPかもしれないね」と教えてくれて。私にもHSPの面があるのかもと思い始めました。

武田 なるほどですね。菊池さんの『生きやすい』には、繊細さんによくある悩みが多く描かれていますよね。「人と会うと疲れる」とか「人に頼れない」とか。

菊池 はい。武田さんの『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 繊細さんの本』を読んで、私の漫画と同じような見出しがありすぎたので「私パクっちゃったんじゃないか!?」って心配してしまったくらい!(笑)。ただ、私はアダルトチルドレンなので、HSPなのかどうかが正直わからないんですよ。

武田 両方あるんじゃないかなと思いますよ。

菊池 ええ、そうなんですか。

武田 HSPが過酷な環境で育って、生きづらい部分が出てくることがあります。もともとの気質で困っているのか、それとも育った環境が原因で困っているのかってじつは結構見分けづらいんです。

菊池 そうですよね。

武田 カウンセリングなどを通して育った環境による生きづらさが徐々に楽になってきたとき、それでも人の感情がわかったり、ぱっと深く考える傾向にあったりなどHSP特有の性質が残っていたら、HSPだといえると思います。

人に会うと疲れてしまうが、人は好き

菊池 そもそもなのですが、HSPとはどういうものなのでしょうか?

武田 HSP(Highly Sensitive Person)はアメリカの心理学者であるアーロン博士が提唱した概念です。日本語では、「敏感すぎる人」「とても繊細な人」と訳されています。1996年にアメリカで本が発売されたので、まだ20年ちょっとくらいの新しい概念なのですが、最近では日本にも浸透してきましたね。

菊池 たしかに、まわりでも聞くようになりました。

武田 これまで、いろんなことが気になったり、物事に慎重になったりする人たちは神経質だとか弱虫だといわれてきたのですが、じつは生まれつき神経のシステムが違う人が5人に1人いる。「生まれつき繊細な人がいる」ということをアーロン博士は発表したんです。

菊池 なるほど。

武田 神経は「どれくらいの刺激が快適なのか」というのが人によって差があるのですが、繊細な人はそうじゃない人に比べて最適なレベルが低い。ちょっとした刺激でいっぱいいっぱいになってしまうんです。例えば飲み会でいうと、非・繊細さんは「飲み会楽しいな〜!」で終わりますが、繊細さんはその場にいるだけで音や会話、相手の表情などのいろんな刺激を受け取り、ぐったりしてしまうなんてことはよくあります。たしか『生きやすい』でも飲み会のシーンを描かれていましたよね?

(『生きやすい』より)

(『生きやすい』より)


(『生きやすい』より)

(『生きやすい』より)

菊池 はい。でも、人は好きなんですよ。だから「飲み会が嫌い」とか「大人数よりもふたりきりで話すほうが好き」っていうと、相手に「私のこと嫌いなの?」って思われそうなのがすごく不安した。そのせいで長い間ずっと言えなくて、この前初めて漫画に描いて楽になったんです。でも、やっぱり言いづらいですよね?

武田 そうですね。繊細さんのなかには「私、人が嫌いなんだろうか……」と悩む人もいます。でも、それはいろいろな刺激に対して敏感なだけなんです。人は好きなんだけど、刺激が多すぎるっていうことなんですよね。

菊池 しかも私、飲み会に行くと一番楽しんでいるように見えるタイプなんですよ(笑)。場を盛り上げたり、めちゃくちゃなしゃべりをしたりとかして。誰も私のことをそういうのが苦手だって思わない。だから今更何言っているんだ! って思う人がいっぱいいるんだろうなって思いながら描いたんですけどね(笑)。

武田 そうだったんですね(笑)。繊細さんってそういうところもあって。例えば、誰かが会話に加われてないとか、前に座っている人のお皿が空いたなとか小さいところに気づいてしまうんですよね。その場の空気を感じ取るので、「今、こういうリアクションを求められているんだろうな」「会話を盛り上げなきゃな」といろいろ対応しちゃうんです。

菊池 うん、やりすぎちゃう。

武田 あとは、楽しめていない時ほど「相手に悪いな」と思って、楽しんでいるふりをしたり、テンションを上げて対応したり。

菊池 こういうのってみなさんどうされているんですかね?

武田 大人数が苦手な場合、“そういう場所に行かないキャラ”にして乗り切っている方もいますね。最近HSPの概念が広がってきたので「苦手なんだよね」と素直に伝えて断る人も増えてきたなと感じています。

文・宮本香菜

後編は10月4日更新です

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