『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#36 浮気した夫を信じられません。
今週の相談:過去に夫に浮気をされました。話し合いの末、許して一緒にいることを決めましたが以降、夫のことは信じられなくなりました。夫に対する気持ちも以前とは明らかに変わってしまいました。昔のような仲良く幸せだった頃の関係に戻りたいです。私自身の気持ちの問題なのでしょうが幸せだった頃を思い出すと悲しいです。
パートナーの浮気、辛いですね。浮気の事実そのものもそうですが、その人と一緒にいる以上、「浮気をされた」「夫のことが信用しきれない」という自分自身の苦しみとつきあっていかなければいけなくなるのも本当に辛いことだと思います。
さて、まず申し上げたいのは「昔のような仲良く幸せだった頃の関係に戻る」ことは決してないということです。
今回のような浮気というトラブルの有無に限らず、現在から過去に戻ることは決してないからです。
どんなに楽しかった記憶があっても、学生時代に戻れないのと一緒ですね。
その上でお伝えします。どんなことでも、目的のために力を尽くすことを妨げるものがあります。それは過去にとらわれること。過去に起きた事象にとらわれ、今目の前にいる人や物事に適切な対応をとれないということがあります。
仏教では「今、ここ、わたし」を立脚点にします。すでに起こったこと、過ぎてしまった過去に振り回されても仕方がありません。過去は過去として、単なる事実として受け入れ、とらわれず、今何が必要で何をするべきかを正しく判断しなければなりません。
実際、ご主人の浮気自体については、お二人で話し合って「起きてしまったこと」「取り返しはつかないことと」と判断し、その上で「水に流す」という選択をされたのではないですか? でしたら、ご自分の気持ちも同じように過去から引き剥がし「今」を見つめていかなくては、せっかくのお二人でたどり着いた選択を現実のものにすることはできません。
今はもう、浮気をしたご主人も、まだ浮気をしていないご主人も存在しないのです。隣にいるのは、今、この瞬間をともに過ごす一人の男性でしかないのです。
幸せだった頃を思い出すと悲しいとおっしゃっていますね。その悲しみを、二人でいることで乗り越えられるという希望を持てるなら、この先の人生も一緒にいるといいでしょう。
二人でいるとより悲しみが深くなるのであれば、別の選択をするのも一手です。
過去に戻ることは出来ません。今あなたがどうしたいか、その気持に寄り添えるのはあなた自身しかいないのです。
次回は8月12日更新です。
今後の最新コンテンツが気になる方は、ぜひSouffle公式Twitterをフォロー!