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【特別コラム】がんとお金「患者と家族を助けてくれる10の制度」〜知らないともらえない、お金の話〜
著者/賢見卓也「特定非営利活動法人がんと暮らしを考える会」理事長・看護師
「がん治療にはお金がかかる」というイメージがありませんか? 実は一般的ながん治療を受ける場合、日本には患者や家族を助けてくれる制度や補助はたくさんあるのです。がんと宣告されたら、仕事は? お金は? 家族の生活は? それらの不安を取り除くために、これからご紹介する10の制度を活用してください。
助けてくれるお金の制度や保険
自分が「がん」かもしれないと知ったら、やるべきことが3つあります。
(1)治療に関する情報集め
(2)仕事や家事、子育てを休むための段取り
(3)利用できる制度や保険の手続き
近年、がんは治療技術や薬の進歩で、これまでよりも長く生きることが可能になりました。
そのぶん治療期間が長くなり、治療費もかさむ傾向にもあります。
そのため治療費や生活費など、お金の部分を助けてくれる制度や保険の手続きへ関心が高まっています。
ただ、制度といっても「いったい自分がどんな制度に加入しているか」「どんな時に利用できるのか」などわからないことばかりでしょう。
中には自分で申告しないともらえないお金も多いので、どんな制度を利用できるのか、各窓口に問い合わせをして確認してみましょう。
代表的な10の制度
傷病手当金 |
健康保険の制度 |
高額療養費制度 |
健康保険の制度 |
所得税:医療費控除 |
税務署に医療費を申告すると一定金額の所得が控除される制度 |
がん保険・医療保険 |
民間保険会社や共済など任意の制度 |
障害厚生年金・障害基礎年金 |
公的年金の制度 |
退職関連:健康保険・年金・雇用保険 |
退職後は3つの制度の手続きが必要 |
住宅ローン:団体信用生命保険 |
銀行と民間保険会社の制度 |
生命保険:契約者貸付金 |
民間保険会社の制度 |
生命保険:リビングニーズ特約 |
民間保険会社の制度 |
雇用保険:介護休業給付金 |
雇用保険の制度 |
※制度によっては細かい要件がきちんと満たされている場合にしか利用できないものもあります。そして毎年少しずつ変更される制度もあるので、詳細については必ず窓口で確認してください。
制度がわかる便利サイト
自分が活用できる制度を知るためには、このようなリストを手にひとつひとつの制度を勉強する必要があります。
しかし、がんになって精神的にも体力的にも不安定な時期にそのような労力を払うのは至難の業です。
そんな場合には、「がん制度ドック」というサイトを活用してみてください。
「がん制度ドック」
こちらは22の質問に回答するだけで、自分が利用できる可能性のある制度の洗い出しを行うことができます。
また、制度の確認になることもあります。
何か知らない制度が見つかった場合には、必ず制度の窓口に電話等で問い合せしてみましょう。利用できる可能性がある制度を取りこぼすことなく予防することができます。
質問に答えることで、制度の確認になることもあります。
お金への安心感が、症状に好影響をもたらす?
海外では貯蓄に不安がないと答えたがん患者さんの方が、不安だと答えたがん患者さんよりも、身体症状が軽いという研究結果が発表されるようになってきました。
逆に考えるなら、がんになったとしても経済的な問題をひとつひとつクリアしていけば、精神的に安心できるだけでなく症状にも良い影響があるかもしれませんね。
著者紹介:賢見卓也
「特定非営利活動法人がんと暮らしを考える会」理事長・看護師
NPO法人がんと暮らしを考える会
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・看護師など専門家が集まってがん患者さんの経済的な問題の課題解決を行っている団体。
関東地方の病院を中心に患者向け「お金と仕事の個別相談会」や、市民公開セミナーの「がん制度大学」、制度検索システムの「がん制度ドック」などを展開している。
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