公式Twitter 公式Facebook 公式Instagram RSS
Souffle(スーフル) Souffle(スーフル) 息、できてる?
コラム 2018.10.30

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#2 大好きなSNSに、イラッとしてしまう

インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方。

「わたし思ったんだけど、自慢とかよりも、自分のくだらない近況とか載せてる人がイライラして疲れるってわかった。しらねーわ、的な」
この憎悪に満ちた文章、見ているこちらまで謎の苛立ちで、貧乏ゆすりと頭皮を掻き毟る手が止まらない、爪は噛み過ぎて全部なくなった。

みんな大好きSNSだが、このようにイラッときてしまうことも実は多い。
いつでもどこでも思いついたことをすぐ投稿できるのがSNSの良い所である、だがそれ故に他人のとれたて新鮮な泥つきの怒りや悲しみがダイレクトに流れてもくるのである。

例えば、道を歩いていたらいきなり知らないおっさんに殴られたとする、そんな時一番に何をするかというと、警察などは二の次で、あばらが折れてないかぎりはSNSに「今知らないおっさんに殴られた」と投稿してしまうのではないか。

あばらは折れているし内臓もばっちり破裂しているが、それでもSNSが一番だと言う人は一旦鉄格子つきの部屋に入れてもらうなどしてSNSから離れてみることをお勧めするが、とにかく私たちは、嬉しいことだろうが悲しいことだろうが、何かあったらSNSに投稿するという習性がついてしまっている。

投稿する方は、自分に起こったことを消化する意味でSNSに書いたりもするのだが、見る方はいきなり世の中の理不尽を目の当たりにすることになってしまうのだ。
つまりSNSを見るというのは、突然他人の怒りと悲しみと言う名のストロングゼロをケツから流し込まれるかもしれない、ということである。

SNSというのはキレイなものから汚いものまで、何でも流れてくるガンジス河のようなものだが、時には「河の水全部ストロングゼロ」という日もある、その河の水が下流にある自分の尻に流れてくるのだ。
そんな日はさすがに、SNSってやつは最悪だと思ってしまうかもしれない。

だがその前に、考えて見よう、SNSが最悪なのではなく、己が最悪な時にSNSを見ていないかと。
「知らないおっさんに殴られた」というツイートに怒りを覚えるのは普通である、しかし冒頭のように、他人のくだらない近況に苛つくというのは、そいつの近況がつまらなすぎるせいではなく、それを見る自分の精神状態が最悪なせいではないか。

最悪な時にSNSを見ると、何を見てもムカつくのである、世の中には誰が見ても涙するような美談に「作り話だ」と食ってかかる人もいる、おそらくその人は相当最悪な時にその美談を見てしまったのだろう。

よって「今日はちょっとメンのヘルの調子が悪いな」という時はSNSを見ないことをお勧めする。
そんな時は子猫の動画を見ても苛ついてしまうだろう、もちろん子キャット様にではなく、子キャット様を使ってリツイートを稼ごうとする人間の薄汚い心に対してだが、これだって調子の良い日は「こんな天使の動画を投稿してくれて、神か?」と思えるはずだ。

「台風の時田んぼを見に行かない」と同じように「最悪な時はSNSを見に行かない」俺との約束だ。

大反響にこたえ毎週更新になりました!次回は11月7日更新です。

前の回を読む 次の回を読む
『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方とは?

『国家の猫ムラヤマ』コミック1巻をオンライン書店で購入

『国家の猫ムラヤマ』コミック1巻の電子書籍を購入