『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#57 彼氏の友人を好きになってしまいました。
今週の相談:3ヶ月ほど前から「もしかして?」と思っていましたが、彼氏の友人を好きになってしまったようです。彼氏とその友人はとても仲が良く、また私も含めて趣味が同じなので、関わりを断つことが難しいです。どちらのほうが大事なのかもよくわからなくなってきました。私はどうしたらよいでしょうか。
同じ感じの質問が前にもありました。前のは既婚女性からのお悩みでしたが、「入籍」の実績にこだわって回答したわけではないので、「特定のパートナーがいる」という点から考えれば、今回も全く同様の回答になってしまいます。
そうは言っても、というところで、仏教の立場からというよりは、同じ時代を生きる一人の人間として、というところからお答えを書いてみました。
さて、気がつくとその人のことを考えている。
その人を想うと胸が苦しくなる、あるいは幸せな気持ちになる。
その人が他の人と寄り添っているのを想像するとつらくなる。
自分を見てほしい。触れてみたい。触れてほしい。
信号機が赤から青になるようなわかりやすいターニングポイントがあればいいのですが、人の心はそんなふうに割り切れるものではありません。まして、恋という、やわらかくてあやふやなものに関しては、いつから、どうして、どれくらいの強さでその人を「好き」だと判断していいのかは、非常に曖昧なことです。
それでも、人を好きになるのには、理由も順番も関係ありません。
好きだと感じる心の動きこそが全てです。
ただ、同時に複数の人に同じ深度で恋をするというのは、なかなか起こり得ることではありません。
なぜなら、恋が人の心の深くて繊細なところで息づくものであるからこそ、そこに何人もの人を迎え入れるのは難しいからです。
であれば、「彼氏の友人」という困難の多い関係に歩みを進める前に、今一度、今現在おつきあいされている彼氏との関係にじっくりと向き合ってみてほしいと思うのです。
彼氏とのおつきあいに完全に満たされている、充実していてなんの不安も不満もないのであれば、身近にどんなに魅力的な人が現れようと、自分の恋心が騒ぐことはないはずです。たとえムービースターが目の前に登場し、惚けて憧れるような気持ちが湧き上がったとしても、それは真実の恋とは違うはずです。
今、胸の中に生まれたかもしれない「好き」という気持ちが純粋なものであるなら、だからこそ、彼氏との関係にきちんと向き合い、新たな恋から「逃げ」や「誤魔化し」の要素を取り除いておくべきでしょう。そうでなければ、貴方の心の中にも、誰の心の中にも、「心変わりして彼氏の友人に乗り越えた」という事実しか残りません。
大丈夫です。彼氏のご友人と貴方が本当に結ばれるべき相手であれば、どれほど時間がかかろうと、関係が途切れることはありません。誰をも傷つけず、自分も苦しまずに手を取り合えるときが必ずくるはずです。「ご縁」とはそういうものです。
次回は1月20日更新です。
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