『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#13 人の悪口を言ってしまいます。
今週の相談:人の悪口を言ってしまいます。気をつけているのですが腹が立ったり嫌なことがあると悪口を言うことで発散させてしまいます…。
「妄語をいい、綺語を好み、悪口して他を罵(ののし)り、両舌して他の親好を破することを、口の四悪業という」(『十善法語』より)
妄語とは嘘をつくこと
綺語とは真実にそむいて巧みに飾りたてた言葉
悪口とは人をあしざまに言うこと
両舌とは両方の人に違ったことをいい、両者を離間して争わせることで、二枚舌のこと
この4つは、口をつかった悪い行ないと仏教では言われています。
悪口は一般に「わるぐち」あるいは「あっこう」と読みますが、仏教では「あっく」と読みます。悪気をもって人に悪意を及ばせ、相手を悩ませ、傷つけることです。
けれど、もうひとつ考えてみてほしいことがあります。
悪口はたしかに相手を傷つけますが、同時に、自分の自由をも損なうということです。
悪口には、その対象となる誰かの他に、その悪口をその場で聞かせる相手がいるはずです。聞いているのは一人かもしれませんし、何人かいるかもしれません。一人だと思っていても、近くにいる人の耳にも聞こえているかもしれません。その人達にとって、誰かの悪口を言ったあなたは「悪口を言うような人間」であり、「悪口を言われた人の敵」だということになります。つまり、悪口を言いたい対象、嫌ったり腹を立てたりしている相手にではなく、あなたの愚痴を聞いてくれる人に対してあなた自身の人格を貶め、もしかしたらいつか和解できるかもしれない悪口の相手と歩み寄るチャンスを自らフイする行い。こんな自分になりたい、こんな人付き合いがしたい、こんなふうに生きたい。そういった未来への希望、自由を自らつぶしてしまう行為、それが悪口なのです。
誰にだって、まわりの人に対してイライラしたり腹を立てたりすることはあるでしょう。きっと自分自身も誰かからそう思われることがあるはずです。けれど、その思いを口に出すというのは、人を傷つけ、不快にさせ、同時に自分を自由や幸せから遠ざけることです。
誰かへの悪口を言いたくなってしまったら、一言しゃべるごとに自分の幸せがしぼんでいく様子を想像してみて下さい。
悪口を言うことで嫌な気持ちを発散させているとおっしゃいますが、そんなの気のせい以下です。ありえません。
次回は2月4日更新です。
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