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コラム 2020.01.27

『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談

#59 趣味がありません。

『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰

今週の相談:趣味がありません。周囲の人たちには、それぞれ趣味があり日々が充実しているように見えます。僕には特に趣味がないので淡々と日々を過ごしているのですが、たまにそんな日々に無意味さや虚しさを感じることがあります。趣味を作ればこの虚無感はなくなりますか?

趣味を作れば虚無感はなくなるか。

大雑把な答えを送るなら、「なくなるでしょうね」と言ってよいと思います。

なぜそれが大雑把かと言うと、その趣味が暮らしに張りを与えてくれるようなものであるなら、という条件がつくからです。

何かを無理やりこれが自分の趣味と決め込んで、好きでもないのに時間やお金を費やしては、かえって虚しいだけでしょう。

趣味は友達や恋人との関係に似ています。

自分ひとりの世界に閉じこもったまま出会いを得なければ趣味を持つことはできませんし、出会ったからといって、それが自分にとって本当に夢中になれるような趣味になるかというと、必ずしもそうではありません。そうかと思えば、ふとしたきっかけで出会った何かに、気づいたらハマっていた、大好きになっていた、ということも起こりえます。

ご趣味は? なんて質問を受けて、読書です、とか、映画鑑賞です、なんて答えるのは少々安易に感じられますが、決しておかしなことではありません。

質問者の方も、これまで何かしら本を読んだことも、映画を観たこともあるでしょう。

けれど、それが趣味です、と自信を持って言えるほどにはなっていない。

それはつまり、その一冊、その一作にとどまらず、読書や映画鑑賞の世界そのものに引き込んでくれるような作品、あるいは機会、タイミングといったものに出会っていないことに他なりません。

さて、夢中になれるような趣味があれば虚無感が解消できるとお答えした一方で、趣味はなくとも虚無を感じずにいることもできるとわたしは考えています。

夢中になれるものが、必ずしも趣味とは限らないのではないか、ということです。

例えば食べていくための仕事、例えば資格をとるための勉強、例えば健康や節約のための自炊。言い換えれば、打ち込め充実を味わえるのであれば、例え純粋に余暇のためのものでなくとも、もはやそれが趣味と言えるのではないでしょうか。

何か一つアドバイスをするならば、旅をすること、と申し上げましょう。

旅とは、自分の中の「当たり前」から一歩踏み出す行為です。

今まで生きてきた中で心から楽しいと思えるものに出会えず虚無感を抱えているのなら、思い切って日常の外へ目を向けてみてください。

何も、飛行機を予約してどこかに旅行してください、とは申しません。

もちろんそれもけっこうですが、そんな身軽には動けない場合は、いつもと違う通りを歩いてみるとか、行ったことのないお店へ行ってみるとか、観たことのないジャンルの映画を観てみるとか、そんなことでもいいのです。

出会いとは一方的なものではありません。

自分が趣味を見つけるためには、向こうにも自分を見つけてもらわなければいけません。

そのためには、これまで身を置いていなかったところに足を踏み入れてみる必要があります。

まだ出会っていないということは、つまりこれから出会う未来があること。

そう思うと、とてもワクワクしますね。

次回は2月3日更新です。

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憂鬱な月曜日を過ごしている方へ、ちょっとだけ心が楽になる、料理僧・青江覚峰さんによるお悩み相談コラム。一緒に今日を乗り切りましょう。

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