『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#61 きょうだいへの嫉妬
今週の相談:5歳下の妹がいるのですが、昔から妹のほうが要領がよく得をしているように思え、嫉妬してしまいます。成人すれば消えるだろうと思ったのですが、薄くなりこそすれ消えていません。これはいつか消えますか?消すために変えた方がいいことなどありますか?
我が家には3人の娘がいますが、たしかに下の子のほうが要領がいいですね。
上の子が何かをして怒られたり、褒められたりしているのを見て育っていくわけですし、
初めてのことにも既視感をもってあたることができるので、ある意味それは当たり前と言えてしまいます。
だいたいどこのご家庭でもそうだと聞きます。
そうはいっても嫉妬をしてしまう。
それもまた仕方のないことではありますね。
どうしたって自分中心にものごとを考えてしまうのが人間の性です。
自分よりも妹のほうがいい思いをしている。自分のほうが妹より我慢をしている。
仕方のないことではありますが、自分の都合でものを見て、自分にとって都合のいい状況を良しとすることから、
それと違う状況になると、マイナスの感情が現れてくるのですね。
仏教ではこれを「苦」と呼びます。「苦」は自分の思い通りにならないことから生じます。
その対極にあるのが「悟り」です。
対極と言っても、何もかもが自分の思い通りになった状態のことではなく、苦から開放され心穏やかな状態にあることを指します。
つまり苦がなければ、心は穏やかになり「悟り」の状態になります。
では、どうやって苦を消していけばいいか。
その方法は様々で、仏教の中でも宗派によってアプローチが違います。
それでもいずれの宗派にも共通して言えるのは、自分の都合を認め、それを減らすこと。
具体的には「妹はずるい」「自分ももっとこうしたかった、ああなりたかった」ではなくて
「妹はずるいけど自分も得したことがあったな」とか、「あれがよかった」ではなく「あれがよかったけれど、これも悪くないな」といった具合に、「これがいい」ではなく「これでもいい」と、広い心、広い視野でものごとを捉え、受け入れるという方法です。
自分にとって都合がいいのはこれ、ここ、と、小さなポイントを決めてしまうと、そこからちょっとでもずれると心がざわつきます。
苦が生まれるのです。
人間である以上それをなくすことは簡単ではありません。
だったら、そのポイントを広げていくとよいでしょう。
少しでも外れたら心がざわつくのなら、少しくらいぶれても大外れしなければいいやと大らかに構えられる状況を自分で持っておくことが大事です。
次回は2月17日更新です。
今後の最新コンテンツが気になる方は、ぜひSouffle公式Twitterをフォロー!