『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#66 電話に出ない人が許せません。
今週の相談:必要だから連絡をしているのですが、電話に出ず、連絡も返さない人がいます。と思えば、SNSを更新していたりして腑に落ちません。「電話が怖い」と言うのですが、意味がわかりません。どうしたら相手が電話に出るようになりますか?
「電話に出るのが怖い」と言っている人に対してなぜ頑なに電話をかけるのですか?
素直にメールやLINE、それこそSNSで連絡をすればいいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
用事があって連絡をとりたいのはあなたのほうなのですから、歩み寄ればいいんじゃないでしょうか。
わたしにはどうも、あなたのほうが「どうしても電話しか嫌だ」と頑なになっているように見えます。
気持ちはわからなくないんです。
私自身、メールやメッセンジャーは苦手で、なんでも電話で話したいタイプですから。
理由は明確で、ミスタイプをするから、そしてそれをいちいち指摘されるのがストレスだからです。
だから、ミスタイプのない電話を好みます。
もしくは「ミスタイプがあっても勘弁してね、気にしないでね」と事前に伝えるなどします。
幸い、プライベートはもちろんのこと、仕事のやりとりであってもラインやSNSなどで連絡をとりあうなど、選択肢がいくらでもあるのが現代です。
大切なのは何か。
それはコミュニケーションをとるということです。
手段が重要なのではありません。
長年フランス料理の名店として愛されていた「マキシム・ド・パリ」の顧問だった遠藤明氏が社長を務めていらっしゃった頃、直々にテーブルマナーを教わる機会がありました。そこでおっしゃった言葉で、とても印象に残っているものがあります。
「テーブルマナーなんて所詮外国の作法、日本人がすべてできなくても恥ずかしくありません。でも、フランス料理を一人で食べることはそんなにないでしょう。必ず相手がいます。だから、一緒にテーブルを囲む人を不快にさせないこと、それを一番に考えてください」
これはどんなことにも通じる考え方だと思います。
誰かとの関係、局面において何が今一番大切なのか。
それを見誤ってはいけません。
伝えたい、話し合いたいことがあるのか。
それは電話でなければいけないのか。
もちろん、中には重大な機密に関わることで、どんなかたちであっても文字には残せない、という類のものだってあるかもしれません。
でもそうではなく、コンタクトを取ることが目的なのあって、
その相手が電話が嫌い、怖いとまで言うのであれば、
それを必要としているほうから歩み寄るのがもっとも建設的だと感じます。
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