『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
月曜日のお寺ごはん 最終回
今回で最終回の「月曜日のお寺ごはん」。今までお悩み相談をくださったみなさん、こちらを読んでくださっているみなさんへ、青江さんからのお話です。
これまでたくさんの方にお悩みを寄せていただいた「月曜日のお寺ごはん」、実は今回が最終回となりました。
家族の悩みや仕事の悩みなど普遍的なものから、SNSとの付き合い方やアイドルへの恋心など今どきのお悩みまで、本当に様々な声を聞かせていただきました。それを通じて思ったことは、誰でもみんな悩んでいるのだということです。
自分に能力が足りないからとか、人並外れて不幸な境遇に生まれついたからだとか、そういうわけではないのです。
誰もが皆、常に、大なり小なりの悩みを抱えながら日々を送っています。「サチのお寺ごはん」第1話にもあったとおり、それこそ、お釈迦様でも悩みごとがあったんです。
生きるというのは、悩み苦しみとのいたちごっこです。
ただ生きているだけだって、例えばお腹が減ってもすぐに食べられるものがない、食べたいものがない、食べたいものはあるけれどカロリーが気になって食べられない、持ち合わせが足りなくて妥協しなくてはいけない等々……些細なことに思われるかもしれませんが、それだって悩みに違いありません。
それに加え、広く複雑な社会に生きている私たちです。人と関われば、思いどおりにいかないことばかり。お腹が空いただの眠いだのというのとは全く違う種類の悩み苦しみに振り回されることでしょう。まさに「苦悩」の中に放り込まれるわけです。
でも、どうか知っていてほしいのです。
悩みの大小はあっても、何かに悩み、傷つき、苦しむのは人間であれば避けられないこと、誰もが同じように苦しみを抱えながら生きているということ。
そして、きっとあなた自身がそうであるように、身近に悲しんでいる人がいたら、慰めてあげたい、励ましてあげたい、せめて寄り添ってあげたいと思っている人が必ずいるということ。
深い苦しみの中にあって、人は孤独感を募らせるものです。けれど、決して決して一人ではないことを覚えていてください。
悩みをゼロにすることはできません。完全に解決できる悩みなど滅多にないのです。もし解決できたとしても、またすぐに、次から次へと新たな困難が降りかかってくるでしょう。
私たちにできるのは、悩みをなくそうともがくことではなく、悩みとうまく付き合いながら、できるだけ心穏やかに過ごせるやり方を見つけることです。
それでもどうしても苦しければ、どうぞお寺を頼ってください。
お坊さんにもあなたの悩みをたちどころに解決することはできません。でも、話を聞くことはできます。
自分が背負っている荷物をまず肩から下ろし、さてこの中身は一体何だったんだろうかと、一緒に考えてみるお手伝いができたらと思います。
さて、「月曜日のお寺ごはん」は今回でおしまいですが、漫画「サチのお寺ごはん」はまだまだ続きます。
この後何やら急展開もありそう? どうぞお楽しみに!
長い間お付き合いいただきありがとうございました。
今後の最新コンテンツが気になる方は、ぜひSouffle公式Twitterをフォロー!