ネットで悪いやつを見かけたら|ほがらかSNSライフ|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
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コラム 2020.05.19

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#83 自粛警察になる前に。

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

ネットで悪いやつを見かけたら。

ほがらかSNSライフ最近ネット上、特にツイッターで「自粛警察」という文字をよく見る。

しかし、ネットやツイッターにいるということは「家にいる」ということだ。

外でやっている可能性もゼロではないが、このご時世わざわざ外でツイッターに貼りつくというエクストリームネットサーフィンをしている奴は少ないだろう。

つまりネットに常駐している奴はこれ以上なく自粛しているので、自粛警察も用はないはずである。

しかし、営業している店に「店を閉めろ」と嫌がらせの張り紙をするなど、屋外で行われている自粛警察の活動報告する場はインターネットそしてツイッターであり、死ぬほど自粛している我々ツイッターの民が何故かドンヨリさせられているという状態である。

このように、この世のすべての淀みはツイッターに集まってくると言っても過言ではなく、それを受けとめるツイッターはやはり聖なるガンジス川と言わざるを得ないだろう。

自粛警察は、自粛要請に応じない者をお上に変わって取り締まる者を指すが、それ以前にも「○○警察」という言葉はネット上で良く見られた。

だが、「○○警察」に本当の警官はいない、ということだけは共通している。

もしかしたら、モノホンがいたかもしれないし、それはそれで別の問題が巻き起こっているが、大体が警察のコスプレイヤーである。

自粛の応じないのが悪だったとしても、それを取り締まるのは本物の警察である。

お上がそれをしないから、月に代わって俺がやるという、セーラー手書き警告文として活動しているのだとは思う。

しかし、法が裁かない悪を俺が裁いて良いのは2.5次元までと言われている。

自粛警察の活動というのは一歩間違えると業務妨害など「次は法廷で会おう(俺が被告人席側で)」になりかねない、自分がリアル警察に捕まるかもしれない危うさがある。

自粛警察のみならず、ネット上での正義行為には同じリスクがある。

よって今一度、どこまでがやって良い行為なのかおさらいしておこう。

ます第一に、猫を飼っている人間は、SNSに猫の写真をアップする権利を持っている。

これはもはや、義務に近い権利なのだが、まだ法律化されてないため自由意志になってしまっているが、そのうち義務づけられると思うので、科人にならぬよう、法律改正情報には気を配ってほしい。

次に、他人の不利益にならない、発言、意見、陰部などが出ていない表現を発表する権利がある。

他人が間違ったことを言っていると思ったら「この分野に詳しくないので素人質問で恐縮なのですが…」と、丁寧な言葉で訂正や意見を言うことも一応可である。

しかし、例え間違った人や、人類悪みたいな人がいても、相手の個人情報を晒したり攻撃したりするという「裁く」権利や「罰する」権利はない。

そもそもそんな権利はリアル警察にだってないのである。

ネット上とはいえ「悪い奴や気に入らないやつはとりあえず火あぶりにする」という魔女狩り全盛みたいな動きをすると、いつか自分が吊るされかねない。

リアルでもネットでも、悪と思しきものを見つけたら、己が殴り掛かるのではなく「通報」ぐらいに留めておくのが無難なのである。

次回は5月26日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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