『セックスレス沼から抜け出したい』 〜「レス婚」に見る実録奮闘記〜
一番つらいのは自信がなくなること
学生時代、それまで真面目だったのにセックスした途端に「キャラ変」する女子っていませんでしたか? たとえば大学1年の夏休み明け、急に茶髪になり、タバコを吸うようになり、上から目線で過激な性体験を話しはじめたり……。たぶん、女として求められているってある種のステイタスで、セックスした途端に妙な自信がついたんだと思うんですよね。セックスの力、おそるべし。
こんなおばさんでもしてるのに……私って魅力ないの?
さて、セックスした途端、自信がつくのと反対に、セックスレスになるとどうなるか……というと、当然「自信がなくなる」わけです。仕事がんばっても、美人だねって褒められても、ていねいな暮らしの写真にいいねがついても、パートナーからセックスを拒否されると「え、私って魅力ない?」とガラガラガラ~っと自信が崩れる。周囲は「そんなことで自信失っちゃダメだよ、あなたの魅力はそんなところでは測れないよ」とかなんとか言うけど、それでも拭えない「求められないこと」へのモヤモヤ感。
体型維持にメイク、ファッション……魅力的であろうとこんなに努力しているのに、どうして……? と悩んでいるときにショックなのが、自分よりも太っていたり、女を捨てているように見える女性が「セックスを求められている」という話を聞いたとき。無意識のうちに「もしかして私ってこの人に負けてるの?」なんて思ってしまうんです。
人は理由を求める生き物。完璧に努力しているのに求められないことで「ああいう見た目でも求められるってことは、私の性格に問題が……?」「それとも私のテクニックに問題がある?」と、セックスレスになった原因を悶々と考え、自分のあら探しをするループに……。
たかがセックスレスなんかじゃなかった
そして、何度も話し合いをしても、努力しても結局レスが解消しなかったとき……。重くのしかかるのが「もう一生誰ともセックスせずに終わるのかも」という事実です。
(P84 右したくない今私としたくないって~これ以上問うのは今の私ではむりだ)
男性でなら、風俗に行って性欲を解消するとか方法(俗にいう外注)という抜け道がありますが、女性にそれはハードルが高すぎる。そもそも女性は初対面の相手となかなかセックスする気になれないと思うし……。
結婚していた場合、夫以外との男性とのセックスは不貞になってしまうのです。「不倫するか、一生セックスなしで結婚生活を続けるか」の二択ってハードすぎる気がしませんか。
「たかがセックスレス」という意見もあるかもしれませんが、結局、肉体の問題が心までも蝕み、夫婦関係自体もいびつなものになっていきます。『レス婚』の、みどりさんも、セックスレスや結婚生活に悩んで、痩せたり、友だちの前で泣いてしまったりと不安定に。
そんなみどりさんを救ったのは、好きな男性との数年ぶりのセックスでした。たった一度のセックスでこれほどまでに感覚が変わるのか、というくらいの変化です。愛し愛され、求められることがこんなにうれしいなんて。
愛のあるセックスで自尊心を取り戻し、夫婦関係を冷静に見つめ直したみどりさんがどういう行動を起こすことになるのか……。それは実際に読んでたしかめてほしいのですが、これを読んで改めて思ったのは「たかがセックスレス」なんかではない、ということです。
愛する人と裸を見せあい、いつもとは違う姿を見せるセックス。それは性的な気持ちよさとか、子孫繁栄以上の意味があるように思うんですよね。ありのまま自分の姿を受け止めてもらうことで、自己肯定感にもつながるし、相手を深く理解することにもつながっている、ある意味「セックスは究極の存在肯定」なんじゃないでしょうか。
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