『木曜日のシェフレラ通信 うこぎんの相談室』杉田真也 スクールカウンセラーによる子どもの心と向き合うコラム
第5回 不登校 (1)
エレガンスイブで連載中! Souffleでも公開中のマンガ「木曜日のシェフレラ スクールカウンセラー五加木純架」がもっとよく分かる。臨床心理士、公認心理師の杉田真也さんによるコラム連載です。
今回から3回に分け、不登校についてのお話をしていきたいと思います。
文部科学省の調査によると、小中学校の不登校児童生徒数は9年連続で増加しており、令和3年には24万人を超えたそうです。これは全児童生徒の2.6%に当たる数値です。今や不登校は誰にでも起こり得る問題なのかもしれません。
子どもが不登校になると、保護者は子どもをどうやったら学校に行かせられるかに気を取られがちです。それはもちろん、子どもの将来を心配する保護者としての当然の気持ちだと思います。しかし、子どもが何に困っているかを考えずに登校をさせようとしても、それが良い結果につながるとは限りません。
不登校自体をどうにかしようと考えるよりも、その裏に隠れている本人の悩みや課題を見つけること、その対処を通して本人の成長を促していくことが大事なのではないかと思います。
不登校の原因
それでは不登校になる原因は何かというと、実は明確でないことが大半です。子ども自身もどうして学校に行きたくないのか、うまく説明できないことが多いです。何か話しやすい理由を挙げてくれる子どももいますが、それだけが原因であると決めつけるのは早計かもしれません(もちろん、いじめや教師の不適切な指導があるならば早急に対処しなければなりません)。
実際には、不登校にはさまざまな要因が絡んでいる場合がよくあります。
その例として
・学習の難しさ
・対人関係の苦手さ
・新しい活動への不安
・集団活動への不安
といった、その子自身が持っている性格や特徴が影響していることがあります。
また、
・家庭が安心して休める場所でない
・クラスの雰囲気が子どもにとって合わない
といった、環境の要因が影響していることもあります。
子どもの葛藤
不登校の子どもは、昼まで寝ていたり夜通しゲームをしていたりと、つい大人が口を出したくなってしまうような行動をとりがちです。「こんなに家で自由に過ごせているのだから、学校に行かないのは怠けなのではないか」と感じてしまうこともあるかもしれません。
でも、子どもは「学校に行きたくない」気持ちがある一方で、「学校に行かなければならない」という焦りも感じているものです。昼間は他の人が学校で過ごしている時間であり、登校できていない自分を意識しやすい時間でもあります。一方で、夜寝ることは次の朝を迎えてしまうこととつながります。昼夜逆転のような生活は、実は子どもが自分を守るためにやむを得ず編み出した対処方略なのかもしれません。
不登校という状況に対し、大人が思っているよりも子どもは苦しんでいます。我々は子どもたちに何をしてあげることができるでしょう。次回のコラムで考えていきたいと思います。
参考サイト
文部科学省 「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
次回は9月14日更新です。漫画「木曜日のシェフレラ スクールカウンセラー五加木純架」ためし読みはこちら▶▶
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