『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
#1「知的障害」ってなあに?
今や人ごとではない発達障害や自閉症スペクトラム。ちゃんと理解したい! このコラムはマンガ「ムーちゃんと手をつないで〜自閉症の娘が教えてくれたこと〜」と連動してエレガンスイブにて連載中です。マンガと合わせて読むと、より身近なものとして理解できるはず! 第1回は「知的障害」の定義について。
知的障害とは
知的障害とは、18歳までに知的機能の発達におくれがみられ、日常生活や社会生活のいろいろな場面でうまく適応できずに支援を必要としている状態のことです。発達障害のひとつで、状態によって「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4段階で重症度を判断します。
知的機能=学力ではありません
記憶する、理解する、推論する、問題を解決する、抽象的・論理的に考える、状況に合わせて判断する、予想を立てるなど、私たちは生活のあらゆる場面で知的な機能を使っています。基本的な知的機能は知能検査をして数値化(IQ)されますが、IQだけではその人の能力全体をうまく評価できません。そこで国際的な診断基準では、日常生活や社会生活への適応能力を重視するようになっています。「概念」「社会性」「実用」の各領域で、どのくらいの難しさがあるかを調べ、IQとともに総合的らいの難しさがあるかを調べ、IQとともに総合的に判断します。
【概念】言語の理解、読み書き、計算、お金や時間の概念の理解、新しい場面での行動判断など
【社会性】対人関係を築く、集団のルールを守る、他人に共感する、自分の身を守る、人にだまされないなど
【実用】食事やトイレ、衣服の着脱ができる、金銭管理、整理整頓、バスや電車を使う、学校や仕事の課題をこなす、休日の予定を立てるなど
言葉のおくれが特徴的です
「言葉の発達のおくれ」は知的障害のある子に多くみられる特徴で、話しだすのが遅かったり、知っている言葉が少なかったり、言葉を覚えるのが遅かったりします。知的障害があると言葉や抽象的な概念を理解するのが難しいからではないかと考えられています。ただ発達には個人差があり、1歳半で言葉が出ないからといって必ずしも知的障害があるとは限りません。
話せなくても、嬉しい気持ちや悲しい気持ちなどの「感情」は話せる人たちと同じです。ムーちゃんの「ハビアン」や「ビビエー」にもいろんな気持ちが込められています。今どんな気持ちなのかなと想像しながら「ムーちゃんと手をつないで」を読んでみてくださいね。
ムーちゃんからひとこと
知的障害は、愛情不足や育て方が原因じゃないよ! 知的障害の原因は、遺伝子や染色体の異常や、胎児期・出産時での脳損傷、出生後の感染症などさまざま。ムーちゃんもママとパパから愛情をたくさんもらっているよ!
【参考文献】
・有馬正高/監修『知的障害のことがよくわかる本』(2007年、講談社)
・神庭重信/総編集、神尾陽子/編集『DSM-5を読み解く 伝統的精神病理、DSM-Ⅳ,ICD-10をふまえた新時代の精神科診断 1神経発達症群、食行動障害および摂食障害群、排泄症群、秩序破壊的・衝動制御・素行症群、自殺関連』(2014年、中山書店)
・斉藤万比古、小枝達也、本田秀夫/編集『知ってほしい 乳幼児から大人までのADHD・ASD・LD ライフサイクルに沿った発達障害支援ガイドブック』(2017年、診断と治療社)
・原 仁/監修『ふしぎだね!?知的障害のおともだち』(2007年、ミネルヴァ書房)
・湯汲英史/編集『イラストでよくわかる知的障害・発達障害のある子どもへのコミュニケーション支援 合理的配慮にもとづいたことばとこころのサポートブック』(2016年、診断と治療社)など
次回は12月11日更新です。
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