『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#22 「親なきあと」をどう考えたらいい?
障害のある子を持つ親を悩ませる「親なきあと問題」とは? 実状、問題点を探ります。
お金・場所・生活の不安を洗い出そう
障害のある子の生活支援は、おもに親がその役割を担っています。その親が高齢で亡くなった、もしくは認知症や病気などを患ったときに、どのように障害のある子を支えるか考えていかなければなりません。これを「親なきあと問題」といい、以下の3つに分けて考えることができます。
1. お金で困らないための準備
2. 生活の場の確保
3. 日常生活の困りごとへの支援
お金に対する準備:成年後見制度
障害があって判断能力が不十分な場合に、お金を管理するための代表的な仕組みは2000年に施行された「成年後見制度」です。不動産や預貯金の管理、生活のための現金を本人に渡すなどに加え、施設への入所手続きや支援サービスを受けるための手配も行います。後見人には親族、弁護士や社会福祉士といった専門家のほか、社会福祉法人などの法人も就くことができます。
【制度の問題点】
制度には、残念ながら以下のような問題点があります。制度を利用する前には、家族でよく話し合い、専門家にも相談しましょう。
・預貯金を横領する不正がある
・申し込んだら途中でやめることはできない
・後見人への報酬を長期間支払わなければならない
生活の場の確保:4つの選択肢があります
障害のある子が生活する場所は、次の4パターンです。
(1)障害者支援施設:入所施設のことです。夜間は入浴や食事、排泄などの支援を行い、日中は日常生活の介護に自立や就労の訓練などをします。数十人~100人程度と規模が大きいことが特徴です。
(2)グループホーム:障害のある人が数人集まって、世話人と呼ばれる支援者から介護や支援を受けながら生活する住宅のことです。日中は、就労したり福祉サービス施設で活動したりします。
(3)ひとり暮らし
(4)きょうだいや親族と同居
【絶対数が足りない】
障害者支援施設とグループホーム、どちらもなかなか入れないのが実状です。障害者支援施設については、障害のある人が地域で生活することを推進する方針を国が打ち出しているため、新規施設の建設がのぞめません。にもかかわらず、グループホームの数も絶対的に足りておらず、福祉サービスの一層の充実が望まれています。
【共生型サービスの登場】
一方、一部の地域ではグループホームや老人ホームで高齢者と障害者がともに暮らす試みが誕生しており、親子で入居しているケースもみられます。
ムーちゃんからひとこと |
【参考文献】
・渡部 伸/著『障害のある子の「親なきあと」』(2018年、主婦の友社)
次回は11月30日更新です。
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