『木曜日のシェフレラ通信 うこぎんの相談室』杉田真也 スクールカウンセラーによる子どもの心と向き合うコラム
第10回 忘れっぽい子
エレガンスイブで連載中! Souffleでも公開中のマンガ「木曜日のシェフレラ スクールカウンセラー五加木純架」がもっとよく分かる。臨床心理士、公認心理師の杉田真也さんによるコラム連載です。
小学生の保護者から「忘れ物が多い」「言われたことをすぐ忘れてしまう」といったご相談をしょっちゅうお受けします。体操服をいつも忘れる、学校からのお便りをカバンから出さない、さっき叱られたことをまた繰り返している、などなど。特に几帳面な保護者からすれば、どうしてそんなに忘れられるのか、不思議になってしまうようです。
保護者の方が怒りたくなる気持ちもわかります。何度も同じことを注意するのはイライラするものですよね。ただし「忘れないように気をつけなさい」は、ほぼ効果のないアドバイスと思ってもらって間違いないでしょう。今回のコラムでは、子どもの忘れっぽさについて書きたいと思います。
怒ってもあまり意味はありません
忘れっぽい子は「一度にたくさんのことを覚えるのが苦手」だったりします。それに関連して、「興味が他のことに向いてしまうと、それまで覚えていたはずのことを忘れる」なんてことも起こります。先述の「忘れないように気をつけなさい」というアドバイス自体を忘れてしまうわけですから、怒り損になりかねません。
忘れやすいシチュエーションを知りましょう
忘れっぽいからといって、何もかも忘れてしまうわけではないことにお気づきでしょうか。例えば、登校するときにランドセルを忘れてしまうことは滅多にないですよね。その子が忘れやすいシチュエーションがあるはずです。学校から帰宅した後にお便りを出し忘れてしまいやすいことがわかっているならば、まずはそこにターゲットを絞って対策を考えてみるのです。大きな問題は、小分けにしていくと考えやすくなります。
大人が工夫を考えていきましょう
忘れ物の場合、単純かつ有効な作戦はリマインダーを用意することです。例えば、「ランドセルを開けてお便りを出す」のように書いて、必ず目にするような場所に貼っておくことなどが考えられます。保護者の方は「お便りを出すか出さないか」に注目するのではなく、「リマインダーを確認したこと」から評価してあげましょう。これだけでも子どもが具体的な工夫に着手したわけですから、大きな進歩です。確認したら貼るシールなどを用意して、モチベーションを上げてあげるのも良いかもしれませんね。
また、忘れそうなものは前日のうちに玄関のドアにかけておくなどの工夫も有効です。最初のうちは保護者が準備してしまっても良いのです。「気づきやすい場所にあれば忘れない」と、子どもが気づけることが大事です。
将来、自分で工夫を考えられるように支えていきましょう
基本的に、忘れっぽさ自体が消失することはあまりありません。「今のうちに直さないと将来苦労する」と言ったところで、本人の自発的な意志がなければ変化はしません。でも、今のうちから忘れにくくなる工夫を教えておくことはできます。それを大人になってから試すかどうかは子ども次第。ただ、工夫の引き出しはいくらあっても良いのです。
家族だけではだんだんと工夫も思いつかなくなってくるかもしれません。もしよければ、スクールカウンセラーにも相談してみてくださいね。
次回は2024年2月1日更新です。
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