『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#35「特別支援学校の教育カリキュラム」
特別支援学校では、どんなことを学んでいるの??
特別支援学校の授業は、実践的で総合的!
ムーちゃんの入学した、特別支援学校(知的障害)の教育課程の編成は以下の通りです。
・各教科(生活・国語・算数・音楽・図画工作・体育)
・道徳
・特別活動
・自立活動
特別支援学校では、知的障害の学習特性に配慮するため、教育課程を再編成した「各教科等を合わせた指導」方法を採用しています。知的障害がある子は、学んだ知識や技術が断片的になりがちで、日常生活の場面の中で生かすことがなかなか難しいんですね。また、抽象的な内容より実際的で具体的に学んだ方が、高い効果を期待できます。
【各教科を合わせた指導】
・日常生活の指導:着衣の着脱や手洗いなど、基本的な生活習慣を幅広く指導する
・遊びの指導:遊びを通じて、仲間とのかかわりや意欲、心身の発達を促していく
・生活単元学習:具体的な活動を通じて、日常の問題解決や目標達成を学ぶ
・作業学習:調理や木工、掃除など、作業を中心に将来の職業や自立に向けた学習を行う
いずれも、実際の生活をもとに繰り返し学んでいきます。特に生活単元学習は、耳なじみがなく、想像するのが少し難しいかもしれません。秋田県の特別支援学校小学部1年生で、実際に行われた授業をご紹介しましょう。
この授業では、「ひまわりの種を職員にプレゼントしよう」というテーマで、子どもたちが自分たちで育てたひまわりの種を、学校の職員に贈る学習が計画されました。この一連の活動では、はさみで切る、シールを貼るといった特定の技能だけにとどまらず、種を数える、見本を見て真似する、作業の見通しを持つ、プレゼントの伝え方を知る、人とのやり取りの経験、完成までの流れの理解、贈る喜び、また何か贈りたいという意欲など……たくさんの事柄を総合的に学習できています。
2020年度から新学習指導要領での実施が始まり、これまでの国語や算数などの各教科を「日常の生活に生かす」目標から、各教科の「見方・考え方を育てる」目標に変わりました。生活単元学習と各教科を、同じゴールで学ぶ従来の方法は使えません。今後は、お互いの学習をどのようにつなげ、どのように活用しながら深い学びを得られるかが、課題となっています。
【参考文献・サイト】
・新井英靖/編著、茨城大学教育学部附属特別支援学校/著『特別支援教育サポートBOOKS 特別支援学校 新学習指導要領を読み解く「各教科」「自立活動」の授業づくり』(明治図書出版、2018年)
・明官茂/監修、全国特別支援学校知的障害教育校長会/編著『学習指導要領Q&A 特別支援教育[知的障害教育]』(東洋館出版社、2020年)
・群馬総合教育センター『生活単元学習の指導』
https://center.gsn.ed.jp/wysiwyg/file/download/1/429
・やまぐち総合教育支援センター『特別支援学校の教育課程』
http://www.ysn21.jp/furecen/q-a/04-01kyouikukatei.pdf
・福島県特別支援教育センター『各教科等を合わせた指導~生活単元学習を例に~』
https://special-center.fcs.ed.jp/wysiwyg/file/download/1/35
・秋田県特別支援学校教育研究会『稲川支援学校小学部1年1組生活単元学習「いーな・サンサンプロジェクト~ひまわりのたねをプレゼントしよう!~」』
http://www.yuri-s.akita-pref.ed.jp/R2kentokukunken/data/shidouan/detar4/inakawa.pdf
(Web参照はいずれも2023/08/31)
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