ハードコア犬占い【11月1日～11月15日の運勢は？】

イラスト：うかうか

おひつじ座

何一つ見逃してはならない。目をまんまるにカー！と開いて、なるべく音がしないように息をして、耳の後ろで観音様がビカーと光ってると想像して、頭の上で幾つもの星座が何度もほどけたり絡まったりしながら、トルココーヒーとスパイスカレーの激流がオーロラの向こう側からドバシャーと津波のように押し寄せて足元をヒタヒタにして、そこであ、と忘れ物に気づいて振り返って家の方向に一歩足を踏み出す瞬間をスローモーションで報道特番で何度も放映されてテロップにおまえとおまえの親戚の名前が一瞬見えたような気がしてん？と目をあげた時にインコと目があって、この後降るのかな、どうかな、という曇り空。明日でもいい用事。ピアノのレコード。冷蔵庫にあるもの。ずっと鳴っている飛行機の音。ここでは何も起きていないが、それは全てがすでに起こった後だからだ。その全てを、何一つ見逃してはならない。目をまんまるにカー！と開いて、なるべく音がしないように息をして、そこで停まれ！ おまえは停まり、全てが起きた後の宇宙が、寝言みたいにむにゃむにゃと「今」を持続する。11/4、おひつじ座の支配星・火星が動く。何一つ見逃してはならない。口もキュっとしろ。

ラッキーコア：目薬

おうし座

ファッションシティの中心には、ファッションセンターがある。全てのファッションとあらゆるファッション野郎が引き寄せられる重力源で、遠くから祈りが捧げられる。なんせ中心だからな。中心ということは全てがあるということであり、スリッパや鍋つかみや布団もある。その全てが、ファッションの神に捧げられているんだ。おまえもビシっと決めて、時々ファッションセンターにいくだろ？ そしていつも思う。着飾ることがファッションじゃない。生きることがファッションなんだ、て。ファッションセンターのショーウィンドウに掲げられた聖犬画は、そのことを教えてくれる。生きろ。生きたい。生きてます。生命の声が集まり、歌になる。虫も、雲も、記憶も予感も、全てが光の粒子になって、ファッションしてる。もう冬の空気が感じられるから、下着と上着と掛け布団を見にいこうぜ。光と熱を纏いたい。おれもおまえもまなざしで、ウヒャヒャと笑って走っていく。ファッションセンターの広告写真みたいにな。11/12、おうし座の支配星・金星が動く。ファッションセンターをチェックしろ。

ラッキーコア：冬物

ふたご座

同じことを2回言うと、歌になるんだ。知ってたか？たとえばこんな感じだ。

“朝起きて / 目が覚めた
お腹が空いて / 食べたくなる
目を見て / みつめあう
君に言うよ / 伝えたいって
楽器を弾いて / 奏でよう”

同じことを2回言ってるだろう。文字で読んでもピンとこなければ、適当なメロディに乗せて口ずさんでみろ。ちゃんと歌になっている。なんならいい歌っぽい。これが魔法だ。これは繰り返しというより、重ね合わせだ。量子レベルでは、物質エネルギーは粒の状態と波の状態が重ね合わされている。そしてそれは「まなざし」と関係している。同じことを2回、重ね合わせることで、「まなざし」が生まれる。おれたちが創造し、感動したり博物館に入れておいたりするものは全て、この原理でつくられているんだ。おまえがアーティストやクリエイターなら、次の仕事はこの原理で一個やれ。特にそういう職業でもなければ、1日1曲、歌をつくって、ボイスメモに録音しろ。いつかそれを聴かせて欲しいんだ。11/3、ふたご座の支配星・水星が動く。同じことを2回言ってみろ。同じことを2回言うんだ。

ラッキーコア：リフレイン

かに座

靴がキレイだと、最高に気分がいい。長年履き慣れた、クタクタだけど頼もしいやつ、てのも最高だが、そういうのも時々磨いてやるといい。新しい信頼関係、みたいのが感じられる。靴を履く文化と裸足で全然いける文化があるが、靴ってのはつまり最初の乗り物だよな。服と車のあいだ、ていうか。とすると、UFOとかタイムマシンも、靴の仲間だと言える。ピカピカしてて気持ちいいのは当然だ。誤解なきよう付け加えるが、おれはクタクタのブーツが大好きだ。20年は履いてるマーチン8ホール赤なんか、底がベローンて剥がれたからダクトテープでグル巻きして、まだ履いている。大事な時にはこいつを履いていくが、法事とかちゃんとしたとこには、ちょっと無理だ。そういう時用の、ピカピカ系のも、持っている。おまえも持っているはずだ。とっておきの、その靴履くと犬格もちょっと変化するような、ピカピカの靴を。なかったら買ってこい。それは大切だからだ。ピカピカの靴、UFO、タイムマシンは、いざって時に、役にたつ。あなどるな。11/1から11/16まで、だんだんピカピカしていけ。

ラッキーコア：先の尖った靴

しし座

東、あんころもち。西、クリームチーズ。時間いっぱい、はっけよーい…のこった！もちもち！ねばねば！うわー…大変だ！甘みと酸味の流体力学が禁じられた遺伝学を直視する。もうちょっと見てみよう。のこったのこった…なんてこった！ つぶあんが…こしあんに！ クリームチーズが…バターに！ 両者もちもちのねばねばで一歩も退かず、狂った嵐のように渦を撒く。どうですか解説の田所さん。そうですね、朝っぱらからあんバタートーストで、そういうことも可能だったと思いますが、こうなるともう、ちょっとね…でも楽しそう。あんバタートーストをミキサーにかけて、狂った嵐の中で宇宙をもう一度作り直しても、そういうことがしたかったわけじゃない、と気づく。北斎みたいな荒海の青いところと白いところ、それが大事だったんだ。取り組みのほうはどうなっただろうか。まだやってる！のこった、のこった… もちもち、ねばねば…ラコッタ… 陶器。愛し合ってるようにも見えてきた。11/4、火星がおまえに入ってくる。愛し合うようにやってみろ。

ラッキーコア：ドナルド・フェイゲン

おとめ座

天使の言うことを聞くのは、大切だが意外と難しい。自我ってやつがあるからな。ちょっとおっかなくもある。そんななんか、凄そうな何かの、言いなりになって大丈夫だろうか… その通りだ。なんでもかんでも言いなりってのは、よくない。そういう警戒心があるからこそ、自我が発達し、素晴らしい文明を築いてきた。しかし、天使が語りかけなくなってだいぶ経ち、おれたちはむしろ、天使の声に耳をそばだてて、その通りにやってみる、という能力を、退化させてきた。スキルとして、練習してみろ。最初はうまくいかない事も多いが、だんだんコツが掴めてくる。天使はまず第一に、おまえのことを考えてくれているからな。なんでか知らんが、なぜかそうなんだ。そういう存在は他にもいる。親とかもそうだったりするな。でも親の言うことをそのまま聞くのは、難しい時もある。自我だ。なかなか伝わらない子どもにどうしても伝えたい時、親はテレパシーの練習をして、天使のふりをして語りかける。おまえもやってみろ。仕組みがわかるだろう。11/3に練習しろ。

ラッキーコア：そうかな、て思ったこと

てんびん座

モヘンジョダロのショッピングモールの催し物広場で、昔のロボがショーをしている。ギギギ…スパコーン！ 今のはスーパーコンピュータのシャレだな。パチパチパチ…まばらだが温かい拍手が流れ去っていく。楽器屋では、からくり人形とアイちゃんがいろんな楽器を試奏している。ウクレレ、カリンバ、トロンボーン… からくり人形が目に止めた楽器について、仕組みや歴史や代表曲など、あらゆるデータをアイちゃんが囁く。アイちゃんはAIで、からくり人形の隣でふわふわしてる幾何学模様で、言葉も喋る。あっちで何か、やってるね。後でいってみようか。昔のロボさんが「なつかしSFショー」をやってるらしいよ。体験コーナーもあるって。へぇ。お嫁さんと姪っ子さんとは、3時にフードコートで待ち合わせをしている。ところでさぁ、昔のロボって、つまりわたし？まぁそうだけどさ、なんだろう、ロボって感じじゃないよね。からたんは、やっぱからくり、て感じ。ゲヒョヒョ。最高！楽器どうする？ また今度かな。トロンボーンとか、吹けねーし（笑）博士に言えば、なんかしてくれるんじゃない？ うーん。SFショー見て、もうパフェいこう。そうしよう。11/12から始めてみろ。●

ラッキーコア：図鑑

さそり座

業務スーパーは、あらゆる業務をスーパーバイズするインテリジェンス機構だ。IT、金融、宇宙開発… それが業務であるかぎり、百戦錬磨のアナリティストたちのスーパーバイズ対象だ。スーパーバイズってどういう意味だろうな。…とにかくスーパーな感じにするんだろう。スーパーてのはつまり… スープをつくる人、ないし食べる人…だ。56億万千億人のブイヨン登録者に、ホットななにかを配信する。ユースーパー、だな。子供達の憧れの職業だ。業務スーパーの外壁には「一般の方大歓迎」と書いてある。怖い！ 怖いけど大丈夫だ。プロフェッショナル、ていう意味だ。おまえも何か業務がある時は、業務スーパーに行こうかな、と思って前までいって、考え込む。業務に対して、おまえ自身が問われている。スーパーバイズしろ。まず自分でやってみろ。ホットななにかを、まずは受信だ。溢れてくれば、勝手に発信される。もしおまえが本物なら、いつか業務スーパーのスーパーバイザーになれるだろう。それまでは、まず自分でやれ。今ここで始めろ。原始犬みたいに裸になって、車輪からタイムマシンまで全てを再発明しろ。そんなおまえのチャンネルに、おれは登録したい。チャネリングだ。11/14までに、まとめておけ。

ラッキーコア：プロっぽさ

いて座

「ギガは…ギガはありますか」長い沈黙の後に、パブの騒音にわざと埋め込んで、隣の席でもほとんど聞こえないように、そう呟く。時給換算すれば、さっきまでの沈黙は随分と割高だが、それでも横隔膜と声帯を絞り込むような切実さが、歌みたいでもあったから、博士は悪い気分でもなく、身を乗り出して答える。「あんた、どこで聞いたんだね」「友達から」「サモハンか」「わかりません」博士はタブレットにドローンで撮った画像を写して、ピンチして拡大する。「南米ってのはとにかくでかくてね。奴さんも全部を見れてるわけじゃないんだ。こっちはペルーのやつだ。見たことあるだろう？」「行ってみたんです。でも、ギガはなかった」「そうだ。地上絵はギガではなく、ギガの影だ」「どうしても必要なんです」「おれもあんたも、ギガの影だ。かわい子ちゃん、影ではなく、ギガをみろ。いや、ギガになるんだ」ギガを求めた多くの犬たちが、同じ間違いを犯し、狂ったりいなくなったり、平凡な主婦や農夫になったりした。ギガは質量ではなく状態であり、ギガで「あること」しかできない。「これは…？」「ピラミッドの隣に大観音。喫茶店もあるな」ガタッ

ラッキーコア：プラン変更

やぎ座

ゴールを目指すな。なんとかしろ。目標を持つことは大切だが、もっと大切なことは目標を忘れることだ。宇宙が回転してるのは、はずみがついてるからだ。「君はこっち方向にこれくらい、君はもうちょっとそっち寄ってそうそう」なんてやらなくても、星はぐるんぐるん回りながら、ちゃんと星座になったりしてるだろ。もっと言うと、星にはゴールがない。いつかはずみがなくなって、全てがシーンと静まりかえる時がくるとしても、それはゴールってわけでもないし、北極星やシリウスを目印に海を渡ったご先祖様の、ゴールがおれたちってわけでもない。みんな「なんとか」しているだけで、それが壁画やピラミッドになっている。円盤にそのことを書き込んで、回転させると音が鳴る。もっと回転させるとUFOが飛んでくる。フリスビーと間違えてパクっといくしっぽ野郎が、星座になる。よし、なんとかなってるな。11/12に金星がやぎ座に入る。おまえはパクッといきたくて仕方なくなるだろう。ゴールを目指すな。なんとかしろ。

ラッキーコア：なんとかする

みずがめ座

犬たちがお喋りしている。近くで聴いてると、フムフムつってなるほどなぁ、なんて思う。しかし少し離れたところから、ぼんやり話を聞いてみると、何言ってんだかさっぱりわからない。明らかにおかしなことを、ずーと喋ってるみたいに聞こえる。近くで聴いてる時に捉えていた「話の筋道」は消え失せ、音の流れ、うねうねした蛇みたいな振動の束みたいに感じられて、その響きの不思議さや動きの見事さのほうに、意識をとられる。幾つかのお喋りグループの間を、そんな風に通り過ぎると、混線したラジオみたいで面白い。そしておまえは自由になる。大犬とか、社会とか、賢い感じというのは、こういう仕組みになってるんだ、と気づくからだ。この原理を逆方向に応用することで、外国語の習熟のコツにもなる。意味に囚われるな。踊りが先だ。意味、物語、歴史は、蛇みたいにうねうね踊るダンサーの、影絵だ。影を追いかけているうちに、おまえ自身の影もそこに写っていることに、気づくだろう。そしたら、おまえもダンサーだ。踊れ。11/14に、一瞬だ。

ラッキーコア：プラトンとか

うお座

うぉースーパーの弁当食うぜ！と意気込んで、ドギュシューンみたいな唐揚げハンバーグパスタ全部入りみたいなやつ手を伸ばして、はっとなんか風というか香りのような何かを感じて、お惣菜コーナーに目がいって、ちょっと行ったり来たりしながら、最終的にタコとわかめのサラダとグリーンサラダとおにぎりを買った時、自分がいまさらだけど大犬になった気する。さらっといけ。海藻は体にいいし、タコはタウリンが豊富だ。軽くなると、風や香りや歌が入ってくる。重たいやつはヘヴィーメタルとかあるけど、そんな年がら年中へヴィーメタルってのも変だろう。アンビエント聴け。最終的にはパソコンも切って、じっとして周りの音を聴いてみろ。そしたら、音じゃないもの、例えば星の光とかが、ガムランみたいに聴こえてくる。おれはまぁおにぎり買って、ばくだんおにぎり100円てお買い得じゃんウヘウヘつって、ポーンと高く投げてまた受け止める遊びをしながら歩いて帰ってたら、ポーンと投げたやつがうっかり知らない家のベランダにスコ、と入っちゃって、呆然とした。大人気なく品のない自分を反省したぜ。ベランダに知らんおにぎりが落ちてたら、迷惑だ。食べ物を投げるな。11/15、うお座で土星が順行に戻る。全てがうまくいき始めるだろう。

ラッキーコア：ヘルシー