『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#27 仕事が忙しく自分の時間がありません。
今週の相談:生活があるので仕事を辞めることもできず、毎日疲れて、自分の好きな事もできないつまらない毎日を送っています。このままで良いのか、とたまに人生に虚しさを感じます。
「忙しい」という言葉は「心を亡くす」と書きますが、まさに心が亡くなっていくと毎日がつまらなく、イライラし、虚しく感じるものですね。
そういった忙しい毎日では自分の好きなことをする時間がない。味気ない人生。そんな日々を過ごすことに対するもやもやがあるわけですね。わかります。
では、もし好きなことばかりができるようになったらどうでしょうか。
義務も制限もなく、気の向くまま自由にやりたい放題。
はじめはいいかもしれません。けれど人間の欲や興味というのはとどまるところを知りません。楽しいと思えば、もっともっとと欲が出ます。求める気持ちはエスカレートするばかりで、今度は満たされない思いに悩むことになるのではないでしょうか。欲求にとらわれ、退屈を恐れる毎日。それはそれで苦しいものです。
例えば中学生や高校生だった頃、誰にもそれなりに充実した青春時代があったことでしょう。部活動に打ち込んだり、登下校中に友達とおしゃべりしたり。先生の目を盗んで授業中に漫画を回し読みしたり。褒められたことばかりではありませんが、きっと楽しい思い出があったはずです。
けれど、そのように「楽しい」と思うことができたのは、制限や拘束があったからこそのものなのです。義務や規則のある中で、いかにその網目をくぐって楽しみを見つけるか。その年代の若者は、それが実に上手なのです。
つまりはバランスの問題だと言えます。規則の中での自由行動。忙しさの中での自由時間。どちらかに偏ることなく、いい塩梅のバランスを取ることが、心の安定につながります。
むしろ、社会人になった今は自分のお金もあれば行動範囲も広がり、学校や保護者の許可なくできることだって増えているのです。仕事の忙しさの中でも、自分の好きに使える時間はきっと見つかるはずです。
時間や仕事に追われる毎日では、追ってくるものを気にして後ろばかり見てしまいがちですが、ちょっとした気の持ちようで隙間時間は見つかります。
そこまでいけばだいぶ楽になるでしょう。そこに、楽しいこと、やりたいことを少しずつ当てはめていってみてください。
誰にも平等に与えられている24時間の使い方の、自分なりのバランスが見えてくるでしょう。
次回は6月3日更新です。
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