しつこく、今年ドラマ化した私の漫画の話をするし、正直一生するつもりなので、諦めてほしいのだが、実はこの漫画は1巻が発売した時点で打ち切りを宣告されていたのだ。
漫画の連載が終わる理由は99%が売り上げ不振だが、どの時点で切られるかは明確な基準がなく、1巻で決まるというのは鱗滝さんでも見逃しちゃうくらい判断が早いレベルだと思うし、私の打ち切り人生の中でもTier1と言っていい。
しかし、私にしては珍しいストーリー漫画であり、ストーリーであれば今後面白くなる可能性もあり、1巻で終わらせるのは早計である。
自分的には面白くなる予定はなかったし、むしろ1話先のことすら考えていなかったが、「まだ描きたいことがたくさんあるんです」と、クレカ限度額を貯金と勘違いしている人みたいな主張をしたところ、存在しない未来の面白さに賭けてくれた皆様の応援により、打ち切りを免れるようになった。
私がいつになくゴネたのはちょうどその時、新型コロナウイルスが本格化しており、大きな書店が休業していたからである。売る場所がなければ売れないのは当たり前だろうという納得のいかなさがあり、それに同情する声も多かった。
しかし今現在、漫画の評価基準が書籍だけということはまずないだろう。何だったら今では電子や配信の方がシェアが多いため、そちらの方に重きがおかれている可能性も高い。
つまり今同じ主張をしても、「書籍が買えなくても電子があるじゃない」の一言で、ベルサイユに蜂起した民衆は解散するしかないのだが、逆に評価基準が多様化したのは良いことでもある。
これは漫画に限ったことではなく、それこそドラマも昔はテレビの視聴率で全てを判断されていたが、今はネット配信も重要だし、数字には残らないが「何故か死ぬほど録画で見られている」と主張することもできる。
もちろんどれだけ評価基準が多様化しようと、「総合的に失敗」と判断されることも多いのだが、自分を納得させるための慰め手段が増えたということが重要なのだ。
単行本の売り上げはイマイチだったが、連載時のアクセス数は悪くなかった、コメント欄は賑わっていた、1回SNSでバズったなど、自分をヨシヨシする手数は多いに越したことはない。
ただ、今も昔も全く慰められない言葉がある。
それが「編集部内では人気だった」だ。
これは「読者ウケしなかった」の対義語であり、編集者にウケていることを褒め言葉だと思って言っているところも腹が立つ。
同じ内輪受けなら、お母さんが笑ってくれた方がこちらは5億倍嬉しいのだ。
編集部にウケていたというぐらいなら、「誰にもウケてなかった」と言ってほしい。そっちの方が、「そんなものを載せた編集部が悪い」という慰めが一つ増えていい。
次回は11月4日更新です。
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