『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#13「ムーちゃんはこんなことが嫌だった!」
「ムーちゃんと手をつないで」第11話(コミックス3巻収録)でのムーちゃんは嫌そうな顔をたくさんしていましたね。その理由を考えてみましょう。
・ばぁばが帰り際に腕をつかんだ場面
・お友だちがムーちゃんの手を引いた場面
・お友だちが遊びの輪の中にいる場面
・ムーちゃんが噛(か)んでしまう場面
興味関心がせまい
自閉症スペクトラムのある人に共通する特徴に「こだわりが強い」ことが挙げられます。遊びや興味関心にも「こだわり」はみられるため、遊びや好きなものも限定的になることが知られています。ムーちゃんはおみやげをもらっても、昆虫図鑑を読んでいましたね。ムーちゃんの図鑑好きも「こだわり」のひとつなのかもしれません。また幼稚園での外遊びも、ムーちゃんには興味のない遊びだったとも考えられます。
人間関係の構築が苦手
他人の気持ちや意図をくみ取ることも苦手です。挨拶をする、「おみやげをもらった」「靴を履かせてもらった」という好意に対して「ありがとう」とお礼を言う、笑顔で喜びを伝えるなど、臨機応変な対応をすることができません。コミュニケーションをうまくとれないために、常識のない子、変わった子と誤解されることもあります。
気持ちを伝えることが苦手
自閉症スペクトラムのある子の多くは、気持ちをうまく表現できない上、感情のコントロールも苦手です。人を叩く、噛むなどの他害行動のほか、パニック(癇癪)を起こしたり、物に当たったりすることもあります。
変化が苦手
自閉症スペクトラムの人は、自分のルールがあり「ルールどおり」の行動をするのが得意な一方、予定変更や予想外のできごとは苦手です。いつもどおり図鑑を読んでいる時に、いきなり腕をつかまれてしまうことは予定外のできごとですから、嫌悪感を抱いた可能性があります。さらに幼稚園では次に何をして遊ぶのかわからないまま、予告なく靴を履かされ、お友だちに手を引かれるのを不安に感じていたのかもしれません。
感覚過敏で触られるのがとても苦手
ちょっとした接触でも不快に感じたり、痛く感じたりしてしまう感覚過敏のある子がいます。他人に触られるのを極度に嫌がる人が多いため、もしかしたらムーちゃんも腕をつかまれるのが苦手なのかもしれません。
ムーちゃんが嫌な顔をするのには、いろいろな原因が考えられますね。ムーちゃんはなぜお友だちを噛んでしまったんでしょうか。コミックスを読んで確かめてくださいね。
ムーちゃんからひとこと |
【参考文献】
・内山登紀夫/監修、伊藤久美/編『新しい発達と障害を考える本(1)もっと知りたい!自閉症のおともだち』(ミネルヴァ書房、2013年)
・内山登紀夫/監修、伊藤久美/編『新しい発達と障害を考える本(5)なにがちがうの?自閉症の子の見え方・感じ方』(ミネルヴァ書房、2014年)
・内山登紀夫/監修、諏訪利明・安倍陽子/編『特別支援教育をすすめる本(1)こんなとき、どうする?発達障害のある子への支援[幼稚園・保育園]』(ミネルヴァ書房、2009年)
・NHK『発達障害って何だろう 困りごとのトリセツ(触覚が過敏)』
・本田秀夫/著『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』(SBクリエイティブ、2013年)
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