『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#27 「障害のある子どもの学び場について教えて!」
子どもに障害があるとわかった時、就学はどうしたらいいのか悩みますよね。どんな支援があるのかまとめました。
障害の状態に合わせた学び場
障害のある子どもは、障害の状態に応じて公立小学校では以下の場所に在籍することになります。
●通常の学級:いわゆる普通学級のこと。困りごとには合理的配慮を受けられます。いろいろな子どもたちと関われる良さはあるものの、個別対応や支援には限りがあります。
●通級指導教室:普段は通常の学級で授業に参加し、一部の時間だけ苦手な学習科目や生活での困りごとに対する個別支援を受けます。
●特別支援学級:障害の種別ごとに編成される少人数学級です。一人ひとりの状況に応じた学習支援と生活支援が提供されます。
●特別支援学校(単一障害学級・重複障害学級):障害の程度が比較的重く、支援を多く必要とする子どもが在籍する学校で、通常の学習に加えて「自立活動」の授業があります。
盲・聾・養護学校と特別支援学校って違うの?
障害のある子の教育は長らく「特殊教育」と呼ばれ、障害の種類と程度に着目して設立された「盲・聾・養護学校」でのみ行われていました。しかし2007年に、「特殊教育」から「特別支援教育」へと制度が大転換し、特別支援学校へと統一されたのです。特別支援教育では障害のある子自身に着目し、その子が抱えている学習や生活面での困りごとに応じた教育的支援を行います。また、それまで通常学級に在籍し、支援が受けられなかった学習障害(LD)や注意欠陥性/多動性障害(ADHD)のある子どもが支援の対象となったことも、大きな前進でした。
特別支援学校の先生は高い専門性を持つ
学校の統合に伴い障害の種類ごとにわかれていた教員免許制度も一本化されました。特別支援学校では、教員は教諭免許状の他に「特別支援学校教諭免許状」の取得も義務づけられています。自分が専門とする障害だけでなく、学校が対応するすべての障害について一定の知識を修得しなければなりません。
全国の特別支援学校教諭等免許状を持っている教員の割合は84.9%(2020年時点)と、非常に高い専門性をもった教育が行われているのがわかります。現在は制度の移行期間中とはいえ、本来は全員が資格を持っていなければならないものですから、教員全員の資格取得が期待されます。
一方、特別支援学級の教員には免許保有の規定はないものの、特別支援学校と同じように高い専門性が求められます。しかし、免許保有率は30.8%(2018年時点)と非常に低く、課題のひとつとなっています。
ムーちゃんからひとこと
特別支援学校は、教室が足りないことが問題になっているんだ。2019年の調査での不足数は、全国で3,162教室!!! それに小・中学校では学校設置の基準があるのに、特別支援学校にはなかったんだって。だからひとつの教室をパーティションで区切って授業することもあったの…ようやく2022年4月から、校舎の面積や学級の上限人数などの基準ができることになったよ。
【参考サイト】
文部科学省『令和元年9月25日「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」資料 日本の特別支援教育の状況について』
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/09/__icsFiles/afieldfile/2019/09/24/1421554_3_1.pdf
文部科学省『令和2年度特別支援学校教員の特別支援学校 教諭等免許状保有状況等調査結果の概要』
https://www.mext.go.jp/content/20210308-mxt_tokubetu01-000013247.pdf
文部科学省『公立特別支援学校における教室不足調査(令和元年度)結果について』
https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_sisetujo-000006016_1.pdf
(すべて2021/11/29参照)
次回は11月4日更新です。
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