『逃げることは戦略である』 ぱぷりこ 暗黒大陸みたいな場所にとどまらないために。
#3 なぜ私たちは「逃げる」ことを選べないんだろう?
「逃げてもいい」と言われても、どうやって逃げたら?逃げた後はどうなるの? 不安な気持ちを抱えたままでは動くこともできません。そんな時に読んでほしい、戦略コラム!
「戦略」とは、「理想」「現実」「理想と現実のギャップ」を正しく認識し、ギャップを埋める手段を考え、実行し、検証すること。戦略がきちんとあれば、「逃げる」コマンドを選ぶ機会は、実際はそこそこ多いのです。
にもかかわらず、「逃げる」コマンドを選ばない人はたくさんいて、「逃げることは悪いことだパーソン」もイキイキと跋扈しています。ホワーイ?
理由は7つ考えられます。
1. 「逃げる」メリットを知らない
「仕事は苦しいものだから、逃げるなんて考える意味がない」
「前に逃げたけど苦しいままだったから、今回も同じ」
戦略的に逃げればメリットがあるにもかかわらず「逃げても意味がない」と考えていたり、以前に逃げてうまくいかなかった経験から「逃げてもなにも変わらない」と失望してしまっていると、「逃げたい」と思っていても逃げようとしなくなります(「学習性無力感」と言います)。「逃げても無駄だ」と言われ続けたり、妨害され続けたりしても、同じような状況になります。
2. 逃げるコストとリスクを過大に見積もっている
「逃げたら負け癖がついて、どこにいってもやっていけない」
「逃げたら人生が終了する」
逃げるコストとリスクを過剰に見積もっていると、「逃げるなんてコスパが悪い」「逃げることが怖い」「逃げるなんて恐ろしい!悪魔的手段!」と、「逃げる」コマンドを放棄してしまいます。「コストとデメリットを課題に見積もっている」は「逃げるメリットを知らない」とセットです。逃げるメリットを知らず、周囲から「逃げたら負け組」「逃げたら一巻の終わり」と刷り込まれていると、「デメリット>>>>>メリット」と判断してしまいます。
3. 逃げることへの罪悪感がある
「私が抜けたら、同僚に迷惑がかかる」
「逃げることは悪いこと」
1や2と似たパターンで、逃げることへの「罪悪感」がある場合も、なかなか逃げられません。周囲から「逃げることは悪いこと」と刷り込まれ、かつ責任感が強く、周囲を思いやれる人ほど、罪悪感を持ってしまう傾向があります。
4. 主語を間違えている
「優秀な同僚は、誰も逃げ出さない。つらいけど楽しそうだ。自分はレベルが低いからつらいのであって、優秀な人のようにとどまるべきだ」
「誰も親から逃げたりしなかった。だから、自分も逃げないほうがいい」
周囲と自分を比べて、「周囲は逃げていない。だから逃げてはいけない」と、他者をベースに意思決定してしまうと、うまく逃げられなくなります。
戦略とは、あくまで主語は「自分」です。「自分の理想」にたいして「自分の現実」があり「自分の理想と自分の現実とのギャップ」があるから、それを埋めるために逃げることを検討するものです。ですが、自分の人生を決める時に「周囲はこうだったから」と、他者を主語にすり替えて考えてしまう人は、けっこういます。ですが、これはすさまじいミスリードと失敗を誘います。
たとえば「親から逃げる人なんて周りにいない。だから、自分も逃げない」という命題が正しいのは、「周囲の人は自分と同じ理想と現実を持っている」場合の時だけです。しかし、実際はぜんぜん違いますよね。自分が毒親育ちの場合、ノン毒親と比べても意味がありません。だって前提が違うから。同じように、ブラック環境で生き延びれてしまう驚異的な体力がある人と、一般的な体力の人を比べても意味がありません。だってリソースが違うから。あえてブラックな環境で修行して短期的に金を稼ごうとしている人と、のんびり働きたい自分を比べても意味がありません。だって理想が違うから。
このように「比較してもぜんぜん意味がない他人」と自分を比較し、主語を「自分」ではなく「他人」にしてしまうと、適切に逃げることができなくなります。
次回は残る3項目と、さらなる具体的な戦略について。11月8日更新です。
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