『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#2 人間関係をなめらかにする心構え。
浅草・緑泉寺の料理僧 青江覚峰さんによる、心を整える精進料理コラム。
このコラムのタイトルにもなっている「お寺ごはん」。お寺ごはんとは、精進料理を一般のご家庭でも作りやすくアレンジしたものです。「サチのお寺ごはん」の中でも、サチがスーパーで買った食材で作っているように、日常に取り入れやすいレシピをご紹介しています。
さて、お寺ごはんを作るときに気にとめていただきたいことがいくつかあります。料理するときや食べるときの心がまえのようなものです。今日はその中の一つ、「面取り」についてお話しをしましょう。
面取りとは、野菜を切った際、切り口に残る鋭角的な部分を包丁で切り落とし、角をとってなめらかに整えること。これをすることで尖った部分がなくなり、全体的に丸い形に仕上がります。
では、面取りをするとどんなよいことがあるのでしょうか。一つには、煮崩れを防ぐという目的があります。角が尖ったままだと、煮ている間にその部分が他の食材や鍋肌にぶつかってだんだん崩れていってしまいます。細かなヒビが入ることで全体がボロっと割れてしまうことも。面取りがしてあれば、食材が他のものにあたっても衝撃が小さく、煮崩れを起こしにくくなります。
また、口に入れたときの舌触りも良くなります。舌や頬の内側、上顎といったところに角が当たると、口の中で転がしにくく、意識がそこへいってしまいがちに。角が取れてなめらかに整えられたものであれば、口の中ですっと馴染んで、味や香りに集中して食事を楽しむことができます。
人間関係も一緒なんです。尖ってつんつんしているより、丸く、なめらかに、まろやかに人と接したほうが、おつき合いは円滑になるというもの。逆の立場になって考えてみれば、ギスギスして乱暴な物言いをされるより、穏やかに優しく言ってもらったほうが、相手の言葉がすっと心に入ってきやすいのだとわかると思います。
人も野菜も同じです。下ごしらえで面取りするときは、自分という素材の角を除き、丸く丸く整えるつもりで丁寧に作業するように心がけてみてください。
レシピ
◆お麩じゃが
《材料》
・車麩 ・・・大1枚
・じゃがいも ・・・中1個
・人参 ・・・1/4本
・しらたき ・・・1/4袋
・さやえんどう
・サラダ油
(A)
昆布出汁1/2カップ
酒 大さじ1
砂糖 小さじ1/2
醤油 大さじ1
みりん 大さじ1
《作り方》
(1)車麩はAで戻し、8等分に切り軽く絞る。じゃがいもと人参は皮をむき一口大に切る。しらたきは食べやすい大きさに切り、湯がいておく。
(2)鍋にサラダ油をひき中火にかける。車麩の両面を焦げ目がつくまで炒め、バットにとっておく。人参とじゃがいも、しらたきを油が馴染むまで炒める。
(3)だし汁とみりんを加え、沸騰したら弱火にして(A)と(2)の車麩を加え、落とし蓋をする。
(4)野菜に串がすっと通るまで煮えたら器に盛り付け、すじをとってさっと茹でた絹さやを飾る。
次回は10月30日更新です。
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