何者かになりたいと焦る気持ちをしずめたい | Souffle(スーフル)
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コラム 2018.11.12

『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談

#4 何者かになりたい、そんな気持ちをしずめたい。

『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰

浅草緑泉寺の料理僧・青江覚峰さんによる人生相談コラム。

サチのお寺ごはん

「そら豆は枝豆になろうと思わないんですよ。」

「えんどう豆になろうともしないし、大豆になろうともしない」

「臼井さんも誰かになろうとしてその人の道を追いかけているから置いてかれているように思うのでは?」

源導さんのこの台詞。今日はこの言葉の背景となったお経をご紹介します。

私がいつも読むお経に「阿弥陀経(あみだきょう)」というものがあります。「極楽浄土」とはどのようなところなのかなどが書かれているお経です。

この中に、「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」と書かれている部分があります。

極楽の中には大きな池があって、そこには大輪の蓮の花が咲いています。青い花は青く輝き、黄色い花は黄色く輝き、赤い花は赤く、白い花は白く輝いています。

当たり前のことですよね。青い花が赤く輝いたら、紫色の花になってしまいますから。

花は赤く生まれれば赤く咲きます。小さいたんぽぽは大きな向日葵になろうとしませんし、猫が獅子になろうとはしません。

でも人間は、時としてそうではないことがあります。

他の人と比べてああなりたい、こうなりたいと考えてしまいます。

あの人のように美人になりたい、あの人みたいに仕事ができるようになりたい、もっと健康だったら、お金持ちに生まれいてたら・・・そうやって、今の自分ではない何者かになることを願ってしまいます。

極楽に咲く花一つ一つに持って生まれたそれぞれの色があるように、私達も人それぞれに「色」があります。すなわち「個性」です。その個性が、その色のとおりに光り輝くことがすばらしいことなのだと阿弥陀経には書かれています。さらに、その一人ひとりの持つ個性、色、輝き、それが集い、様々に咲き乱れた様子が全体として素晴らしい色彩の世の中を作っていく。このような調和こそが世界の美しさなのだと書かれているのが「青色青光〜」の部分なのです。

いかがでしょうか?

源導さんのさりげない言葉には、その背景にこんなお話があったんですよ。

次回は11月19日更新です。

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臼井幸(うすいさち)という名前のとおり、なんだかツイていない日々をおくる27歳のOL・サチ。ひとり暮らしでコンビニ飯ばかりの日々を過ごすうち、大好きだった食べることが楽しくなくなってしまった…。残業続きで疲れ果てたある夜、サチはコンビニで茶髪の男子から声をかけられる。「これからオレたちと一緒に飲もうよ!」となかば強引に連れて行かれたのは近所のお寺で…?テレビドラマ化もされた美坊主達と一緒につくる、精進料理コミック!

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