『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#8 会社の同僚のマウンティングに悩んでいます。
今週の相談:会社の同僚のマウンティングがひどいです。
恋人や学歴など、ことあるごとに自分のほうが私よりも上だとアピールされます。
無視も出来ないのでこまっています。
私達にはだれしも他人に対して自分の優れたところを見つけて優越感に浸りたいと思う心があります。これを仏教では慢(まん)と言います。この言葉はサンスクリット語のMāna(マーナ)に由来し、仏教が教える煩悩のひとつです。他者と自分を比べることによって起こる「慢」という煩悩は、決して消えないものと言われています。
とは言え、それを言葉や態度に表して他人に不快感を与えるかどうかはまた別の話です。やられたほうはたまったものではありませんよね。ただ、マウンティングをしないように他人を変えるというのは簡単なことではありません。できることがあるとすれば、自分側の受け流し方、受け止め方をなんとかすることでしょう。
ここで一つ気にしてみてほしいのは、マウンティングされた事柄について、むしろ自分のほうにネガティブな感情がありはしないだろうかということです。
例えば、テストで60点をとった、相手は80点だった。もしこの60点という点数が、精一杯勉強に取り組んだ結果の、そのときの自分のベストであれば、たとえ相手が80点と言ってきたところで、それをマウンティングとは捉えないのではないでしょうか。あるいは恋人のことにしても、その人が今の自分にとってベストな相手だと信じることができれば、誰になんと言われようと気になどならないはずです。
自分の60点に対し相手は80点、自分の恋人よりも相手の恋人に優れた項目がある、それ自体はマウンティングでもなんでもなく、単なる事実です。どんな嫌味な言い方をされたとしても、事実は事実。その単なる事実を、マウンティングされたと捉えて頭にきたり落ち込んだりする原因は、相手ではなくむしろ自分のほうにあるのではないでしょうか。
誰かからのマウンティングで嫌な気持ちになったときは、自分自身の状態に満足できているかどうかを考えてみてください。ネガティブな感情を解決する糸口はそこにあるように思います。
次回は12月17日更新です。
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