『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#10 仕事の成績が同期や後輩にどんどん追い抜かれてしまい焦っています。
今週の相談:仕事の成績が同期や後輩にどんどん追い抜かれてしまい焦っています。仕事ができない自分に対しても自己嫌悪をしてしまいます。
実は、それこそ2500年前から同じことを悩んでいた人がいるんですよ。
お釈迦様の弟子にチューラパンタカという人がいました。非常に聡明な兄に比べて彼はいつまでもお経すら覚えられず、すっかり自信をなくしてしまいました。
そのとき師匠であるお釈迦様は彼に一枚の布を与え、「毎日掃除だけしていなさい」と言ったのです。
彼は毎日掃除をし続けました。毎日毎日、どんなに掃除をしてもいつの間にか埃が溜まる。がっかりするし、頭にも来る、イライラが溜まる。それこそ埃と同じように。だからといって掃除をしなければ、埃もイライラも積もるばかりで大変なことになってしまう。仕方なく掃除をする、また積もるとわかっていても。それでも毎日掃除をする。そうして彼は、掃除も自分の心も同じことだ! と悟ったと言われています。
適性は人それぞれです。今やっていることが適正ではない=仕事ができない=価値がないということでは決してありません。
どんなに足が速くても泳ぐのは得意でないという人もいるでしょう。オリンピック選手だって、違う種目では素人同然なんてこともあるのです。
だからと言って、じゃぁ、部署を変えてくださいよと簡単にいかないのもわかりますよ。
たとえば営業で、話をするのが苦手であれば、相手の話をよく聞くことにシフトしてみたらどうでしょう。事務仕事がすばやく処理できないのであれば、遅くても絶対にミスしないことに集中し、自分はそういうタイプだとアピールすることで、速さより正確さが求められる仕事をまわしてもらえるかもしれません。逆も然り。多少のミスはあるけれど、とにかくはやく形を整えることなら任せて! という人もいるでしょう。同じ仕事でも、やり方を変えればうまくいくこともありえます
もちろん、どんな工夫をしても悩み、焦りが消えないことも。そういうときは、毎日の掃除のように、腐らず地道に片付けていくことで見えてくるものがあるかもしれません。
次回は2019年1月7日更新です。
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