『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#17 職場に嫌いな人がいます。
今週の相談:職場に嫌いな人がいます。その人の話し方や物事の伝え方、全てが生理的に受け付けず嫌いです。仕事を一緒にしないといけないので関わらないわけにいかず、その人と仕事をする度にストレスを感じます。仕事は辞めたくないですし、イライラもするし、どうしたら良いか日々悩んでいます。
以前の記事(「#11義理の弟のことが苦手で顔をあわせても会話もありません」)にも書いたように、「自分が怨んだり憎んだり嫌っている人とでも社会生活をしているなかでは会わなければならない苦しみ」を四苦八苦の一つ怨憎会苦と言います。この解決にはあいたくない人がいるのは仕方がないのでちょうどいい距離感を。というものでしたが、今回のお話はそれよりも毎日顔を合わせないといけないし、そのためにイライラするし。大変なお気持ちも分かります。
さて、今回は会いたくない人と会わないといけないということから、「イライラする気持ち」に焦点を当ててみましょう。
このイライラする気持ち、広義で”怒り”は仏教の中で「瞋恚(しんに)」と呼び、人間の幸せを妨げる要因の一つとされています。
怒りを収める方法として、様々な宗派で瞑想法などが用いられていますし、マインドフルネスやボディスキャンなども非常に注目を浴びています。
残念ながら、人間の心から怒りの感情をなくすことはできません。どんなに偉い人でも優しい人でも、心の中で大なり小なりの怒りを抱えているものです。問題は、それが爆発して表に出てくると周囲に悪影響を及ぼすということです。怒りを感じることは人間として仕方がないのだと認めた上で、それをコントロールすることが肝心です。まずは己の心の中にある怒りの芽に気づくことから始めてみましょう。
私が師匠からよく言われたことは、怒ってしまうようなできごとが起きたら、その感情はいったんしまって次の日まで持ち越そうというもの。案外、一晩たってみるとたいていのことは「なんだ、それほどでもなかったな」と思えるものです。
頭にきたら3秒待つ、6秒数えるとよく言われるのと同じことですね。それができれば苦労しないよと思うかもしれませんが、常にそのように心がけることで、怒りの感情はコントロールできるようになってきます。それでも、人間ですから100%怒りをなくすことはできませんが、頻度や度合いは確実に下がってくるものです。
何事においても、忘れる、忘れられるということは非常に重要なステップです。そのできごとではなく、怒りの感情を忘れるということです。
怒りを手放し、大したことじゃなかったなと思えればめっけ物。自分の中でうまく消化できた証拠です。
次回は3月4日更新です。
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