『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#50 テレビの中の芸能人を本気で好きになってしまいました。
今週の相談:テレビの中の芸能人を本気で好きになってしまいました。その彼をテレビや雑誌でチェックするのが、毎日の中で最も大切な行為になっていて、お金もたくさん使っています。いい歳してどうかなと思うし、恋人など作るべきかなと思いますが、彼がいない生活も考えられません。絶対に会えない相手を好きでも意味がないとは思うのですが、やめられません。どうすればいいでしょうか。
その芸能人の方に何を求めているのでしょうか。
恋人になりたい、結婚したい、というのであれば、相当ハードルが高そうで(不可能とは言いませんよ!)、
悲しいけれど方向転換を試みたほうが良さそうですよね。
あるいは、暮らしの中でのときめきや癒やし、支え、励ましのような存在であることを求めているのなら、必ずしも思いを断たなくともよいのではないかと思います。
わかりますよ。
おそらく求めているのは後者、
でもそれがあるために、恋人や結婚相手を見つけるチャンスを逃しているのではないかと不安なんですよね。
これ、実は両立できるんじゃないかなあと思うのですが、どうでしょうか。
逆に、身も蓋もない言い方になってしまいますが、その方を好きでいることをやめたからと言って、現実の恋人ができるとも限らない。
自分の人生を考えたとき、実際に触れ合える恋人にいてほしい、ひいては結婚がしたいと本気で思うのなら、そのための行動をとるべきでしょう。
それができない、それをしない言い訳にその方を使うのはズルいように感じます。
人を好きになるのって幸せなことですよね。もちろん楽しいことばかりではありません。
でも、様々な感情を全部ひっくるめても、やっぱり誰かを好きだと思えること、そういう相手に出会えることは、すごく幸せなことだなと思うのです。
たとえそれがテレビの中の人であっても。
だから、その好きな気持ちが、恋愛以外の部分に良くない影響を及ぼすのは残念です。
その人を好きだから毎日が楽しい。
毎日が楽しいから、仕事も頑張れる、
友だちの前でも笑顔でいられる、
ご飯もおいしい。
そういうものではないでしょうか。
その上、好きな相手がなまじ会えない相手なら、フラれることもない、傷つけられることもない。
不倫のように誰かを傷つけることもない。会えない切なさをスパイスにして、恋愛のいいところだけ味わえるなんて最高じゃないですか。
その人を好きでいること。私はやめなくていいと思います。
ただ、自分の現実の暮らしにもちゃんと目を向けてほしいと思います。
時間は誰にとっても同じように過ぎていきます。
その人にもやがて伴侶が現れるかもしれません。
そうはならず、かっこいい独身貴族を貫くかもしれません。
もしかしたらあまりかっこよく歳をとれないかもしれません。
では、自分はどうなっていきたいのでしょうか。
幸か不幸か、「失恋」の可能性の極めて低い相手ですから、場合によって一生涯好きでいられる可能性だってあるんです。
何年か先、何十年か先、どんな自分でその人を見つめていたいか、優しい気持ちで自分に問いかけてみて下さい。
次回は11月25日更新です。
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