『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#51 恋人のギャンブル癖を直したい。
今週の相談:半年前から付き合っている恋人のギャンブル癖を辞めさせたいです。ひどい時は1日に10万近く浪費することもあり、常にお金がない様子で心配です。どうしたら辞めさせることができるでしょうか。
それは心配ですよね。近くにいればいろいろと思うところもあるでしょう。
きっと心配だけではないはずです。
他にするべきことがあるんじゃないか。
そんなことにお金を使うくらいならもっと充実したデートがしたいのに。
将来のことはどう考えているのか。
そんな苛立ちもあるでしょう。
もちろん、彼の懐具合を純粋に心配もしているでしょうし、ギャンブル好きが高じて危ない目に遭いやしないかという不安を感じることだってあるかもしれません。
でもね、それ、全部全部、大きなお世話なのです。
よく言うじゃないですか。他人のことは変えることができない、って。
どんな人にも趣味はあるものです。健康的で高尚な趣味であれば気が楽ですが、そうではない場合もあるんです。
いずれにしても、人を傷つけたり法に触れたりするようなものでなければ、他の人にあれこれ言われる筋合いはありません。
人を傷つける、というのは、「人を傷つける行為」を趣味にしているという意味であって、彼が自分にとって都合の良くないことを趣味にしていることで、自分が勝手に傷つくという意味ではありません。
もちろん、ギャンブルといえば一般的にあまり聞こえの良くないものだということは、感覚としてはわかります。
けれど、それだって結局は主観的なもので、ギャンブル=悪であることとは違います。経済の一端として認められ、許されているものであるということも、同時に承知しておかなければなりません。
さて、彼がギャンブルにハマったのにはきっと理由があるでしょう。初期にすごくおいしい思いをしたのかもしれませんし、何か他の趣味をやめたときにタイミングよく出会ったのかもしれません。
同じように、もっと楽しいものと出会ったり、本人が「これはヤバい」と思うような事態に直面したりということがあれば、ふとしたきっかけでギャンブルから目がそれるかもしれません。そうはならないかもしれません。こればっかりは、誰にも、本人にもわかりません。
ただ、読書やキャンプといった類のものと違って、ギャンブルは時として「行き過ぎ」に走ることがあります。そうなると、先に述べたような、人を傷つけたり法に触れたりということに発展してしまう恐れを多分に孕んでいる趣味だとは言えるかもしれませんね。
冒頭にも書きましたが、他人の心を変えることはできません。自ずと変わることはあるかもしれません。そのとき、自分がそばにいるかいないかも、そのときになってみなければわかりません。彼は一生涯ギャンブルから離れないかもしれません。趣味の範囲内でそれとつきあっていくか、危険なところまで足をつっこんでしまうかもわかりません。
人を変えることはできない。それを頭において、彼との付き合いをどうしていくかも、決められるのはやはり自分だけです。
次回は12月2日更新です。
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