『月曜日のお寺ごはん』青江覚峰 浅草・緑泉寺のお坊さんによる人生相談
#69 悪夢を見ます。
今週の相談:子供のころから、悪夢を見ます。最近は慣れたものですが、悪夢を見るのが嫌で昔は不眠症寸前まで行ってしまいました。何か精神的な理由があるのでしょうか?
まずはじめにお伝えしないといけないのは、仏教では夢について多く語られてはいないということです。
私自身の経験でも、仏教の学びの中で見聞きしたことはないと記憶しています。
この質問を頂いて色々と文献をあたってみましたが、お釈迦様ご自身が夢について語ったお経は見つけられませんでした。
もちろんお経には膨大な数がありますので、ないと言い切ることはできないのですが、私が探した限りでは出会うことはできませんでした。
とはいえ、夢は誰もが見るものです。
例えば浄土真宗を開いた親鸞聖人のお話。師が京都にある六角堂で100日間、日夜ただひたすらに祈るという修行に勤しんでいた最中、ついウトウトと寝てしまうことがあったとか。
その際に、枕元に聖徳太子が現れ、生涯の師となる法然上人の元を訪ねよとのお告げをもたらしたと伝わっています。
このようにエピソードとしてはいくらか残っているのですが、どういう理由でどういった夢を見るのか、それに対して心をどのように持っていればよいのかは、前述の通りよくわかりません。
とは言え、実際に悪夢を見てしまい、それが苦痛で不眠症寸前まで行くような状態は、たしかにつらいことでしょう。
夢が原因ではありませんが、快適な睡眠を得られないというのは私も経験があります。
その経験からお話をさせていただくと、本当に体が疲れ、休息を欲すれば、自然と深く眠れるということです。
ぐっすり眠れないときは、どうも何かをぐるぐると考え、体が休みを求める以上に頭が冴えている状態であるように思います。
であれば、対策はシンプルです。
まずは体を疲れさせること。運動をするなど、体力を消費することです。
次にちゃんと食事をとること。お腹が一杯になれば眠くなることは誰もが経験することでしょう。お腹が空いていると、それだけ気になることが一つ多くなり、眠りにくくなります。
ただし食べ過ぎは禁物。適切な時間に、消化の良いものを適量をとることが肝心です。体を疲れさせるとは言っても、内臓に負担がかかっていては安眠は望めません。
他にも、お風呂に入って体を温める、今日やるべきこと(仕事や宿題)をしっかり終わらせるなど、心身の両面から睡眠環境を整えることが効果的です。
このコラムでも度々触れてきましたが、苦を取り去るためには、目の前のことに集中することが大切です。
そのためには、集中するべきこと以外の雑多な情報をできる限り除かなければいけません。
体の調子を整えて眠る体制を整え、するべきことを終わらせて心を落ち着かせるよう心がけてみてください。
それでも悪夢にうなされるようでしたら、そういうときこそ専門家に頼るタイミングです。
カウンセリングなどを受けてみるのも一案ではないでしょうか。
次回は4月13日更新です。
今後の最新コンテンツが気になる方は、ぜひSouffle公式Twitterをフォロー!