ハードコア犬占い【10月1日～10月15日の運勢は？】

イラスト：うかうか

おひつじ座

天気雨のことを「狐の嫁入り」と言うが、昔の人もなかなか風情がある。世界のどこかである瞬間、狐か誰かがかしこまって、列に並んで歩いたり、小さく咳払いをしてまた神妙な顔をしたりしている。そのかしこまり感や神妙な雰囲気だけが、風にのって全く関係ないおれたちのとこにも届く。そういう感じだ。ところで、なんかすごい微妙なラッキーってあるよな。めっちゃ微かで、なんならラッキーとかですらなく、なんか突然、不思議ないい気分に一瞬なって、あれ？みたいな。おれはそういう時、どこかの宇宙のどこかの星でまた一人、新たなブッダが悟りを開いたのかも、と思う。それくらい遠くて、関係なくて、めでたい瞬間だ。なにをおめでたいこと言ってやがる、と思ったか？ そうだよな。それなら「ハクビシンの成人式」について、考えてみようぜ。もう少し近くて、めでたいといえばめでたく、やっぱり関係のない感じだ。出来事と距離感、てやつだな。10/8は朝からこのことを考えようぜ。

ラッキーコア：おもしろネクタイ

おうし座

海に近い町で、夕方5時の「遠き山に日は落ちて」が流れる。どこからか焼き鳥の少し焦げた香りが、言われないと気づかないくらい微かに満ちる。ガタン、ゴソゴソ、ザワザワといろんな音がするが、全体としては、やはり静かだ。暗くなる前にしておくべき小さな用事、食事の後、寝るまでの間にするかも、しないかもしれない幾つかのことが、ぼんやりと脳裏を通り過ぎる。夕暮れ時はいつも同じで、おれたちはいつも少し、急いでいる。遠い記憶の中の、ある夕暮れ時のなかでも、おれたちはやはり少し、急いでいる。すっかり暗くなると、さまざまな色と強さの光の球しか、視えなくなる。その後は真っ暗な空白で、その次は全てが強く涼しい朝の光に照らされている。新しいスニーカー、あるいはブーツが欲しいな。少し急いで歩いたり、ぼうっと立ち尽くしたりするために。ブロックに腰掛けて、おまじないのような靴紐の結び方を考える。そういうのは後で、そこだけくっきりと憶いだせるんだ。不思議だな。10/11は、後でくっきりと憶いだせそうな何かをやってみろ。

ラッキーコア：天津飯

ふたご座

何がっていうわけじゃなくても、特に今はまずいって時以外なら、おれたちはいつでもルンルン気分になることができる。ルンてのはチベット語で「風、息」ていう意味だ。チベットのお坊さんは身体をルンで満たし、凄い距離を結構な速さで走り抜けるらしい。目はぼんやりと遠く、わずかに上を見るともなく見るのが、コツらしいぞ。これは確かにルンルン状態ではあるが、ちょっと思ってたのと違う気もする。よし、自分で確かめよう。おまえの体をルンで満たせ。ルン、ルン、ルンと絶え間なく唱え、みぞおちに辺りに小さな風が起こり、それが上昇気流や低気圧になって、なんかうわーみたいにあれする感じになったら、小躍りしながら服を着替えて、とりあえず玄関を出ろ。コンビニ、カフェ、あいつん家、まぁどこでもいいから向かってみようぜ。田舎なら小躍りしながら駆け抜けてもいいが、都会なら別にそんなことしなくてもいい。騒音、出来事、まなざしが、結構な勢いでおまえを通り過ぎているからだ。なるほど。ルンルン気分、こんな感じか。試すなら10/6だ。

ラッキーコア：小躍り

かに座

おれが子供の頃、新幹線とかにビュッフェ車てのがあって、カレーとか食えたんだ。おれはビュッフェ車から漂ってくるカレーの匂いに、たまらなくドキドキした。そりゃそうだよな！ たまらないよなそんなの！ まぁ親がおいそれと食わせてはくれないし、それもそうだ。最近はもう殆どなくなったのは、車内販売や駅ビルで美味しいものが食べれるようになったから、らしい。それもそうだ。わかる。しかし、おれが感じたあのドキドキを、今の子どもたちが体験できないのは、寂しいことだ。特急列車の中では、いつでも特別なことが起きている。大人と子どもは体のサイズが違うから、同じ距離を移動しても、感じるヤバさが違うんだ。駅ビルで落ち着いて食べるのとは全く違う物語の予感が、ビュッフェ車にはあった。主に匂いだけだったが、十分だ。速度も距離もカレーも、その本質は香りだ。恋もだ。素早く、大胆に、香りが混じる。スパイスが微かに香るやつが、本物の特急券だ。おまえは改札をくぐり、失われたビュッフェのロンドを踊れ。10/8は、どこへだって行ける。

ラッキーコア：家で映画

しし座

双子の料理研究家が、ひそひそ声で話し合っている。一人はオマール海老を、もう一人はきのこを前にして、時々身振り手振りを交えて話し合うが、一向に埒が明かない。スタッフが小走りに歩み寄り、双子になにか耳打ちして、一皿分のピーマンを置いていく。双子はしばらく黙った後、またひそひそ声で話し始める。カメラのLEDが光っているから、そんな様子をずっと配信中らしい。こんな料理番組、みたことない！ 何をつくろうとしているのか、してないのか、何も定かでないまま、美味しそうなものが脈絡なく増えていく。もう一度スタッフが歩み寄り、双子にイヤホンを渡す。双子はそれぞれ片耳のイヤホンで聴き入っている。きのこ担当のほうは、小さく首を振ってリズムをとり、オマール海老担当のほうは、ハモリを確認しているようだ。オープニングテーマだろうか？ それよりレシピを、味付けを、全体のなんかこうあれを、あれしないといけないのでは…？ 大丈夫だ。双子は料理研究家であり、結局は何かが美味しく仕上がり、配信される。10/15新月は、レシピを確認し、逸脱しろ。

ラッキーコア：ジャジューカ

おとめ座

記憶っていうのは、憶いだす時は平面、映像的に感じられるが、実際には空間まるごとが3Dで保存されている。日常で何気なく何かを憶いだす時、主に視覚情報を抜き出して再生するから、スクリーンに写る映像みたいに感じられる。夢を見ている時は、空間、聴覚や触覚、気分などがまるごと再生されるから、バーチャルリアリティみたいに感じられる。つまり、再生方法の違いだ。もっと言うと、記憶の空間の全体が、それを構成する小さな粒の一つ一つに書き込まれている。つまりホログラムだ。だから、おれたちの脳より大きく広い空間を、おれたちは記憶することができる。今ここで起きている全てのことも、一瞬後には夢の粒になる。おれたちはむしろ、その粒のほうを観ていて、「起きていること」との間に僅かな時差が、常にある。オーマイガ！ じゃどうすればいい？ 目を瞑ってキスをしろ。あるいは風呂に入れ。何も憶いだすな。それが魔法だ。10/10は茄子を美味しくしてみろ。

ラッキーコア：八角

てんびん座

お猿の籠屋、黒猫飛脚が二大プラットフォーマーとして独占してきた物流市場において、おれたちワンワン便はそれでもなお、きめ細やかなニッチニーズへの対応と、絶え間ない付加価値向上、そして何より「運び、届けること -ワンネス」の理念によって、確固たるポジションを築いてきた。太陽系定期便、そして外宇宙超光速通信が新たなブルーオーシャンとしてコモディティ化する今、ワンワン便はチャンスとアドバンテージのリコンストラクションに、挑む。しかし、忘れてはならない。籠がホイサッサと、黒猫が予感と共にあるように、おれたちはたったひとつのフリスビーと共にある。あの丸いものが回転し、おれとおまえとあいつがいる時、おれもおまえもあいつもいない、向こう側が、一瞬と永遠の間に現れる。ワンワン便は、そこへ向かう、いや、届ける。フリスビー、太陽野郎、お月さんが、全て丸くて回転していることは、偶然ではない。10/15てんびん座での新月、届けよう。ワンネスを。

ラッキーコア：ベルボトム

さそり座

ファッションするのも面倒くさいが、まぁでもファッションするやつはいる。なんかやっちゃうんだよな。おれたちがなんか乗っけたり、ふわっとさせたり、ぱっとしたりするのは、食べたり寝たりするのと同じ衝動だ。ファッションジャーナリズムとかは、あれはまた別の話、ビジネスだ。ああいうのもいいが、寝たり起きたりしながら、おれたちは常にファッショナブルだ。おとめ座のとこ読め。おれたちは夢の粒だったりもする。そしたらそれをどんな色でどうキュピーンとするかは、実存的な重要事項なんだ。ファッションに興味がないやつは、今からファッション狂になれ。すでにだいぶ狂ってます、やつは、改めて寝たり起きたり食ったりしてみろ。おれたちは夢の粒であり、色彩であり、共鳴現象だ。着て、乗っけて、塗って、太陽野郎にご挨拶だ。みんなが笑うだろう。そろそろ鍋もいいんじゃないか。あと恋な。なんでもいいんだよ。鍋みたいなもんだ。10/13にそれをやれ。

ラッキーコア：ジャズファンク

いて座

とはいえ、いろいろあるよな。言えることも、言えないこともある。言えなかったことは、最終的にはどうなるんだろうな？ どこにも何も、残らないのかな？ あのな。熱力学第二法則ってのがある。ググれ。簡単にいうと、あったものはなくならない、ということだ。なくならないけど、降り積もるんだ。深海のプランクトンとか、青森の雪みたいな感じだ。昔の東北は、雪が降ったらしばらく外とか出れない。仕方ないから、塩をなめて、三味線をぶっ叩いたらしい。じょんがら、だな。おまえもさ、言えなくて、外にも出れないなら、塩なめてぶっ叩いてみろよ。じょんがらをよ。じょんがらってなんだよ、とかおれに聞くな。それは気分であり、感情であり、おまえしか知らないそれだ。それをぶっ叩け、てことだ。意外にいい音とか出れば、100年も経てば伝統芸能とかになるかもだ。ねぶたとかいいよな。派手で。だから、言えなかったことはねぶたになるんじゃないか。好きなやつがいるなら、告白かねぶたか、選べ。10/12だ。

ラッキーコア：雨雲レーダー

やぎ座

どうやっても地上に出れない巨大な地下街を彷徨っているうちに、なんか慣れてくる。レストランもあるし、服屋もあるし、明かりがついてて明るい。トイレもあるから、別に地上にでなくても、困らないなこれ。そんな風にも思えてくるが、早まるな。おまえには用事、目的地があった筈だ。雨も風も関係ない、明るい巨大地下街は確かに居心地がいいんだが、おまえは別に居心地がいい場所を目指してきた訳ではない。用事をしに、目的地に向かって、おまえは今も歩いている。そもそも地下街は、街ではなく、通路だ。秋のセールがどうだとか、何番出口とか、そもそもそういうの全部、おまえには関係のないことだ。おれはなんば駅のことを言っている。あそこはでかくて、迷宮だ。なんばの外に出ろ。おれたちには未来がある。10/8には出口が現れるが、そこに番号はついてないだろう。お好み焼き食べたい。

ラッキーコア：アー写

みずがめ座

犬はなぜ星占い師になるかっていうと、おれの場合は、貧乏だったからだ。貧乏って暇だろ。暇だし金もないから、空くらいしかないわけよ。テレビとかネットはいろいろあるけど、空つったら昼か夜かくらいしかないから、まぁ見るよな。そしたら月とか星とか、微妙に動いてるだろ。そんなの本当はどうでもいいんだが、暇だから、これはもう見るしかない。そしたらだんだん腹が立ってきて、よしじゃーもっと見てやるよ！ つって、ホロスコープの見方とか覚える。そうやって星占い師になったやつ、結構いると思うぜ。昔からな。そしてそんな星占い師たちが、何をどんな風に語るのか、だ。暇で金もないから星とか月とか見始めたやつから、おまえはどんな話が聞けるだろうか？ 恋模様とか就職とか、そういうのはなしだ。そんなことは何も、星空は語らない。そいつが語っているんだ。星占い師は正直なやつがいい。暇だなー、なんかすげーよな、くらいしか言わない星占い師がいたら、そいつは星座とひとつになっている。10/14、何でも訊いてみろ。

ラッキーコア：10分前行動

うお座

思い出しそうななにかは、思い出さなくていい。でそうなくしゃみは、ださなくてもいい。そういうのは、どっか時点でまとめて出る。棚卸しだな。陶芸家が、窯で器を焼くだろう。なんとなくこんな感じになるかな、というイメージはあっても、あんまりそうでもないらしい。出来上がりは、思ってたのと少し違うが、まぁよしとする。思い出しそうななにかや、でそうなくしゃみも、出てきた時はいつも、意外で新鮮だ。それって逆に面白いだろ？ チェンバロのなんとかです、みたいなやつを聴いて、創作料理がどうしたとか書いてる居酒屋にいけ。すべてが調子外れな未来では、くしゃみの前に笑ってしまう。おれもおまえも、そもそも、笑いたかったはずだ。窯に火を入れて、適当に土をこねたやつを放り込んでおけ。温度が上がり、夜が冷え、なんかみんな呼んで飯でも食いたいな、て思った時に、それは出る。その時着る服とかける音楽は、いろいろ探しとくといいな。10/13には、一度窯の様子をみろ。

ラッキーコア：ブルースハープ