SNSのなりすましって、犯罪??| ほがらかSNSライフ| カレー沢薫| Souffle(スーフル)
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コラム 2022.02.01

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#170 SNSのなりすましって、犯罪??

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』ネットに人の悪口を書くと訴訟か訴えになるから気をつけろよ、という話をしてきたが、本当にそんなことあるのかと思い調べてみたところ、少なくない量の判例が出てきたのでやはりネットやSNSに悪口など書き込むものではない。

大体、人間自体が醜いのに「人間の悪口」などもはや「ウンコが吐いたゲロ」である、どう考えてもネットに載せて良いものではない。
そんなものよりSNSは「おキャット様のお写真」、最悪でもおキャット様が吐いたゲロを掲載したり愛でてりするのに使った方が建設的だ。

判例を見てみると、他人の悪評や悪口を書いて評判を落とす行為は当然名誉毀損になるが「なりすまし」でも名誉毀損が成立した例があるようだ。

「なりチャ」のことなら任せろ、とご起立された方は一旦着席していただきたい、そろそろ全員膝が辛い年齢だろう。

二次元のキャラになりきるのはいい、素では素直にお喋りできない俺たちはそうやって仲間と親睦を深めてきたのだ。

問題は実在の他人になりすます行為である。
メールアドレスを持っている者なら誰しも一度はキムタクからメールが来たことがあるだろう。
最近の芸能人がさっぱりわからないので苦肉のキムタクになってしまったが、今をときめく芸能人の名前を騙った詐欺メールはおそらく今もあると思う。

ただ、名前というのは同姓同名という可能性もあるので、ジャッジアイズに出ているキムタクですと名乗らなければ言い逃れもできなくはないが、それでもキムタクと言われればあのキムタクを連想するし、キムタクが言うならこの神が宿った水をダースで買ってみようという気になるかもしれない。
そうなれば、なりすましによる詐欺罪にもなるのはもちろん、さらに本家キムタクのイメージを悪くしたという名誉毀損にもなる。

相手の悪口を書くだけではなく相手になりすまし傍若無人に振る舞うことで本人のイメージを悪くする行為も名誉毀損に当たるということだ。

実際、被害者になりすまし、第三者の罵倒する書き込みを繰り返した者が名誉毀損で訴えられ、慰謝料を支払うよう判決が出た例もあるようだ。

裁判記録をみると、なりすましをして、どのような書き込みをしたかもしっかり掲載されている。

「みなさん,わたしの顔どうですか?w」
「妄想おばあちゃん全開ですよ~好きにゆってくださいよ~ちなみに,そのカスアバにあってますね~~カスにはカスアバお似合いです~アバコン?ガンコンですよ ~*\(^o^)/*ヒャッハーーー」
「みんなキ●●●なんだから仲良くしましょうよ~*\(^o^)/*ヒャッヒャッヒャッ ヒャッハー*\(^o^)/**\(^o^)/*」

もはや何が誰になりすまし、誰をどう罵倒しているのかさえわからないが、こういう書き込みをしたかどで訴えられ、衆目で裁かれた上に罰金をくらい、その記録が半永久的に残ることになった、というのは事実である。

今後、就職にしろ結婚にしろ、この裁判記録を持ち出されたら、一発見送りの可能性は十分にある。

他人の名誉を毀損しにいって良いのは、己の名誉が一生粉砕されても良い覚悟がある者だけということだ。

次回は2月8日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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