#299 顔出しリテラシー | Souffle(スーフル)
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コラム 2024.09.24

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#299 顔出しリテラシー

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』私の人生は四半世紀ネット漬けだったのだが、最近諸事情でテレビをよく見るようになった。

テレビ番組を見ていて思うのが、昔よりも格段に「顔出し」に対してナーバスになっているという点だ。

芸能人の仮面使用率が増したというわけではない。

「出演者」とされる人たちは相変わらず顔を出しているが、ロケなどで偶然写ってしまったモブの顔はもれなく隠されている。

静画であれば、ネモフィラ畑に1人たたずむエモい写真を作るために「邪魔な人間を消す」という、殺し屋みたいな加工機能を使えばよいが、動画ではまだ難しいようで、顔をモザイクで隠された、ワケありだらけの人間が大集合しているようにも見えるロケ番組もある。

ただ、一般人でも顔出しで取材やインタビューに答えている番組も多いので、おそらく顔出しOKの言質が取れた人だけ映すようにしているのだろう。

しかし、己の顔出しはOKでも「子どもの顔出し」には敏感な場合もあり、お宅訪問系の番組でも、大人は顔を出していても、子どもは隠されていたり、子どもの中でも長男は隠しているが、次男三男は映っているなどの差があったりする。

逆に「もしかして長男は連れ子」というストーリー性を感じてしまうが、これこそが「視聴者は勝手にこういう邪推をするので、不特定多数が見るメディアに顔なんか出すべきではない」という証拠である。

しかし、小学生ぐらいになれば自分で意思表示できるかもしれないが、赤子や幼児が自らの判断で「顔はカットで」と、指をチョキチョキするムカつくジェスチャーができるとは思えない。

おそらく、顔を出さない未成年は親の判断か、親への忖度で出していないのだろう。

Xでさえ、子どもの顔出しに対するリテラシーは高まっており、無修正で子どもの顔が流れてくることは稀だが、未だに子どもの顔はゴンズヌラバアと出しているのに、何故か自分の顔はグラサンスタンプで隠している親がいないわけではなく、それらの行為が批判されているのもよく見かける。

実際、何が起きるかわからないので、注意喚起をするのはよい。しかしX上での注意は「子どもを自分の所有物と思ってるんですか?」など、初手で殴るのが基本なので、そのままケンカになることも多い。

しかし、醜い大人同士の殴り合いによって子どもの安全が守られるなら安いものである。

メディアに顔を出したからといって必ず悪いことが起こるわけではないが、起こる可能性がある以上、最初から出さない方が無難と言える。

そういえば先日「俺の彼女最高」という意味で、彼女とのデート写真をアップしていたアカウントが「勝手に写真をXなんぞに載せたことを理由にフラれた」とご報告していた。

顔を出したからといって問題が起きるとは限らない。しかし「平気で自分以外の顔をネットに上げる」というリテラシーが問題視され、問題が起こるようになったのは確かである。

次回は10月1日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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