最近のXは人気俳優同士の不倫疑惑で紛糾していたが、先日、韓国アイドルコンサートで客をワイルドに扱いすぎている女性スタッフが「シュシュ女」と称して晒され、燃え上がっていた。
冷静に考えれば有名人の不倫も行ってないコンサートの揉め事も全く無関係なはずである。
しかしXはパンスト論争にパンストを穿かない男ですら激怒してくる世界観なのだ。パンストに怒ってシュシュに怒らないわけがない。
おそらく平素、アイドル業界に全く関心がない人含めての大炎上になっていた。
さらにその怒り方も尋常ではなく、シュシュ女のはがし作業よりもスピーディーに住所氏名が特定されてしまっていた。
その状況に、「今のXは誰でもいいから叩いていい奴を見つけて叩くことに熱中しすぎている」と恐怖を抱いている人も多かった。
だがそもそも「人を叩く」という行為は楽しいものなのか。
誰かを叩いている人の心情はおそらく「怒」である。
その時点で勘違いであり、みんな喜楽50%ずつで他人を社会的に殺そうとしているというなら、パンピーの分際でそんな快楽殺人鬼御用達のSNSに居座っている方が悪い。
だがそうではなく、誹謗中傷の主な原動力は「ムカつき」ではないかと思われる。
ムカついている、というのは決して楽しい状態ではない。よってムカつかせた対象を叩くことで解消を図るのだ。
つまり、「ムカついた」というマイナスがゼロになるかならないかだけで、叩く方も得があるわけではないのだ。
それに、「ムカついたから今からそいつを殴りに行く」というヤーヤーヤーができる人間ばかりではない。
おそらくムカつくニュースを目にしてしまったら、何もできずにそれを忘れるまでムカつきっぱなしの人も多いはずである。
よって、自分に関係がないムカつく話は最初から視界に入れないに限る。
しかしネットやSNSをやっていると勝手に目に入ってしまうことも多いので、「芸能人の家庭外合体の話なんか垂れ流すんじゃない」という新たなムカつきが発生し、SNSが怒っている人しかいなくなってしまうのだ。
だが、人を叩く行為に楽しみがないと言っても嘘になるようで、やはり楽しいから叩いていることもあるし、自分がそれを楽しんでいることすら気づかずに叩いてしまっている時もある。
それが「正義による叩き」であり、ある意味一番厄介かもしれない。
人は誰しも自分が「正」側にいたいものだ。しかし現実は自分の方が「悪」、少なくとも「誤」である場合の方が圧倒的に多い。
しかし、不倫など明らかに間違ったことをしている奴を先に見つけて「不倫は良くない」と誰でも言える正しいことを言えば、いとも容易く自分が正側になれるのだ。
つまり、最近の叩いていい人探しは、自分が正になるための悪探しと言ってもいいかもしれない。
確かに悪に対し正しい意見を述べることは悪ではない。しかし、「正なら悪を叩いていい」という発想は間違いであり、その考えはアソパソマンで卒業しなければ、今度は自分が悪側になる。
やはり最初からムカつかないに限る。ムカつきたくなくてもムカつかせる話ばかり目につく昨今だが、少なくとも自分からムカつきに行く怒りの当たり屋ムーブだけはすべきではない。
次回は6月10日更新です。
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