この回の掲載日が、私の漫画原作となるドラマの放送開始直前なので、その件に触れてみてはどうだと打診があった。
まず進行があまりにもギリ、ということがバレるのだが、この連載はまだ余裕がある方だ。
確かに著作のメディア化はこれが初めてであり、これがSNSとの付き合い方の転換期、少なくとも放送期間中は付き合い方を変える必要がある、とは思っている。
まず私が15年以上、「1日68時間Xをやっている」「1秒間に10回エゴサ」を標榜できたのは「そんなに有名じゃない」からにつきるのだ。
褒める奴もそんなにいないが、悪くいう奴もあまりいない、という状況だったため、ごく稀にいる褒める奴を探すのに68時間を費やすという砂金採りができたのだ。
しかし有名になるというのは、それについて言及する人間の母数が増えるということだ。
そうなると、たとえ「支持率99%」であろうとも、言及総人数が1億人であれば「100万人が俺の悪口を言っている」という状態になってしまう。
それに耐えられるのはよほどの強メンタル、もしくはメンタル自体を失っている人間だけだ。
よって一定以上有名な人は、個人で発信するようなSNSアカウントは持たなかったりするし、ネットやSNSは見ないと公言する人もいる。
正直、私の漫画原作はそこまで有名ではない。そんなに売れてなくても何故か映像化の声がかかることがある、というのが夢のあるところだ。
しかし、放送局、キャスト、脚本、楽曲などが妙に豪華なのである。もはや豪華とか有名を超えて「巨大」と言ってもいい。
私の原作のことは何も知らなくても、演者ファンや脚本ファンがとりあえず見て、何らか言及されることが予想される。それは私が今まで体験してきたものとは桁が違うような気がするのだ。
その間SNSとどう付き合うか、それが問題だ。
正直、あってはほしくないが「メチャクチャ評判が悪い」なら判断は早い。
家にある電子機器を全てツルハシで破壊、窓から飛び出てドラマ放送終了まで山とかで暮らせばいい。
炎上など自分の悪評がSNSに飛び交っている時は、「SNSを見ない」の一択である。
しかしこれが賛否両論だと、つい賛を探しに行って否を被弾、致命傷のまま山に入ることになりそうだ。
だが、一番難しいのは、どちらかというと評判がいい時だ。
ドラマとしては評判がいいに越したことはない。しかしSNSとの付き合い方としては、一番困る。
評判が良ければ私も気を良くして、1日86時間はSNSに貼りつきエゴサをしてしまうだろう。
しかし、上記の通り、言及母数が増えればその分、批判数も増えるのである。
人間は100個褒められても1個の貶しで気分最悪になってしまうものなのだ。逆にその貶しを癒やすために、また100個の褒めが必要になってしまう。
もはや一つのSNSだけでは事足りず、1日の総SNS時間が167時間ぐらいになると予想され、おそらくそういう生活は体に悪い。
だがそれをも超える一番避けたい状態が、心配しなくても誰も言及してない「無風」なのである。
あまりいい想像ができなくて、冗談ではなくここ1週間腹を下している。幸福とは、それを受け止められる人間のところに来なければ、ただの不幸なのかもしれない。
次回は6月24日更新です。
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