『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#12「異食症ってなあに?」
なんでも口に入れてしまう異食症。原因は? やめさせるにはどうしたらいいのでしょうか。
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食べ物以外のものを食べてしまうことです
異食症は、小石や葉っぱ、髪の毛や糞便など1か月以上にわたって食べ物以外の栄養のないものを食べてしまう状態のことです。女性や子どもに多く、特に知的障害を伴う自閉症スペクトラムの子どもに多いといわれています。2歳までの幼児では、手にしたものをなんでも口に入れてしまうことは、正常な発達であるため心配ありません。
感覚にまつわる特性が関係しているのかも
自閉症スペクトラムのある人は、感覚過敏など感覚に対する特性のある人が多いことで知られています。口の中にものを入れて感覚を楽しんでいるうちに、誤って飲み込んでしまうことが異食症の原因なのではないかと考えられています。なお発達特性のない人で異食に悩んでいる場合は、亜鉛の不足や貧血が原因かもしれません。心当たりのある人は病院に相談してみましょう。
行動記録をつけて原因を探ろう
異食をした時の記録をつけて、背景にある本当の理由を探ってみましょう。理由がわかれば、対処できることがあるかもしれません。
・何もすることがなくて退屈なのかも → 外に遊びに出かける
・感覚遊びがしたいのかも → トランポリンや小豆遊びなど口以外の感覚遊びを提供する
・食べたいものが食べられなかったからかも → おなかが空いていないか確認。おやつを提供する
・見通しが立たなくて不安なのかも → 予定表をつくって、視覚的に確認してもらう
危ないものは隠しましょう。電池類は要注意!
まず異食すると危険なものを隠しましょう。異食症で困るのは、重金属や薬品、たばこなどを飲んで中毒になったり、バイ菌のついたものを食べて感染症にかかったり、異物が喉や腸でつまったりすることです。特に最近スマートフォンなどで多用されるリチウムイオン電池は放電力が高く、放電によって電池のまわりにアルカリ性の液体をつくって30分から1時間という短い時間でも消化器官を溶かしてしまいます。誤飲しやすいボタン電池も含め、電池類は子どもの目に絶対に触れないようにしてくださいね。
ムーちゃんからひとこと |
【参考文献】
・神尾陽子/編『DSM-5を読み解く 1.神経発達症群, 食行動障害および摂食障害群, 排泄症群, 秩序破壊的・衝動制御・素行症群, 自殺関連』(中山書店、2014年)
・独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園『ニュースレター 共に生きる社会の実現を目指して』(2014年4月1日40号)
・日本精神神経学会/日本語版用語監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院、2014年)
・特定非営利活動法人 日本小児外科学会『小児外科で治療する病気・消化管異物』
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