『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#16「誤学習、過剰学習ってなあに?」
自閉症、発達障害の子どもが陥りやすい「誤学習」「過剰学習」って!? どのように解決していけばいいのかお知らせします。
自閉症の子が陥りやすい状態のこと
小さな子どもは、大人やお友だちとのやりとりを通して、社会ルールや人との関わり方を学んでいきますね。自閉症スペクトラムのある人は、コミュニケーションがとても苦手で人間関係を構築することが難しいため、経験から学んだこと(=学習)にずれが生じてしまう場合があります。
「お友だちのおもちゃを取ろうと叩いた」ケースを例に、学習の状態を考えてみることにしましょう。
未学習: |
・「貸して」「ちょうだい」のやりとりを知らず、うまくコミュニケーションが取れない |
誤学習: |
・お友だちを叩いたら、おもちゃで遊べるようになった経験があるため、ほしいものがあれば暴力を振るえばよいと学んでしまった |
過剰学習: |
・人を叩いておもちゃを取るやり方に固執してしまった |
まずは観察することから
気になる行動を解決する最初のステップは、観察することから始まります。
ひとくちに発達障害といっても、特性の現れ方や特徴はひとそれぞれで個人差がとても大きいんですね。「発達障害だから、この子はこうだろう」と考えてしまうと、間違った働きかけをしてしまうかもしれません。その子の得意・苦手を主観や発達障害という枠組みなしに、じっくりと観察してみてください。学習状態と解決のヒントが得られるはずです。
観察するときは「具体的に!」がポイント。たとえば「パニック」にも人を叩く・金切り声を上げる・逃げ出す・床に寝転ぶ・・・などいろいろあります。具体的な行動に表現できるまで観察しつづけましょう。
・先生に指示されて固まる→どう答えたらいいかわからないのかな【未学習】
・ブロック遊びで金切り声を上げる→誰かが気づいて助けてくれると思っているのかな【誤学習】
ムーちゃんからひとこと |
【参考文献】
・橋本美恵、鹿野佐代子/著『誤学習・未学習を防ぐ! 発達の気になる子の「できた!」が増えるトレーニング』(2018年、翔泳社)
・三田地真実、岡村章司/著、井上雅彦/監修『保護者と先生のための応用行動分析入門ハンドブックー子どもの行動を「ありのまま観る」ために』(2019年、金剛出版)
コミックス『ムーちゃんと手をつないで〜自閉症の娘が教えてくれたこと〜』4巻の購入はこちらから
次回は1月22日更新です。
今後の最新コンテンツが気になる方は、ぜひSouffle公式Twitterをフォロー!