『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#23 「成年後見制度」をもっと詳しく教えて!
「成年後見制度」って知ってますか? メリット・デメリットなどを詳しく調べて見ました。
判断能力の十分でない人を守る制度
成年後見制度は、知的障害・精神障害・認知症などがあって、判断能力が十分でない人の権利を守り支援するための制度です。判断能力が十分でないと、支援施設の契約を結べなかったり、自分に不利益な契約をしたりするかもしれません。そこで成年後見制度では、成年後見人となった人が、財産の管理や施設入所の契約など、本人に代わって法律的なやりとりを行います。
成年後見制度は、以下の3つの基本理念に基づいてつくられています。
○自己決定の尊重:本人の意思を最大限尊重しその支援をする
○現存能力の活用:本人が持っている能力を最大限生かしてその人らしく生きていく
○ノーマライゼーション:可能な限り地域社会の一員として通常の生活が送れるよう、環境や仕組みを整える
法定後見制度と任意後見制度
成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類があります。
【法定後見制度】
法定後見は、本人の判断能力によって後見型・保佐型・補助型の3つの類型に分けられています。家庭裁判所は申し立てがあると、提出された医師の診断書や後見人候補者を参考にして類型と後見人を決定します。親族による不正が多いため、近年では本人に財産がある場合は親族よりも専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が選ばれる傾向にあります。
●後見:判断能力がほとんどないため、生活全般にわたって保護します
●保佐:日常生活にはほとんど問題はないものの、不動産取引やお金の貸し借りなどの重要な法律行為は難しいため、重要な法律行為全般を支援します
●補助:日常生活には問題がなく、重要な法律行為のうち、一人では難しいことについてのみ支援します
【任意後見制度】
認知症などが原因で判断能力が衰えたときのために、判断能力がある段階で信頼できる人と契約を結んで、将来のために準備しておくのが任意後見制度です。
利用者数が伸び悩んでいる
現時点では、残念ながら積極的に活用したいと思える制度とはいえないようです。判断能力が不十分とみられる人のうち、実際に制度を利用しているのは2%にすぎません。支援が必要であるにもかかわらず、申請の仕方がわからないために福祉サービスを利用できていないなど、福祉の網からこぼれ落ちてしまっている人が少なからずいると考えられています。
ムーちゃんからひとこと |
【参考サイト・文献】
・渡部 伸/監修『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』(2019年、自由国民社)
・地域後見推進プロジェクト(https://kouken-pj.org/about/ 2021年4月3日参照)
次回は12月7日更新です。
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